米6月新築住宅販売件数、前月比6.6%減の67.6万戸―市場予想に反して減少

経済

2021/7/27 9:40

<チェックポイント>

●20年4月以来の低水準

●供給不足はやや改善も販売可能な完成戸数は10%にとどまる

●労働者不足や住宅価格の高止まりで当面は販売抑制の可能性

 米商務省が26日発表した6月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比6.6%減の年率換67万6000戸と3カ月連続の減少となり、増加を見込んでいた市場予想の79万5000-80万戸を大きく下回った。水準としては、20年4月(58万2000戸)以来の低さになる。

 前年比は19.4%減と、前月の2.8%増(改定前は9.2%増)を下回り、14カ月ぶりに前年水準を下回った。

 過去3カ月の販売件数は、3月が前回発表時の88万6000戸から87万3000戸、4月が81万7000戸から78万5000戸、5月が76万9000戸から72万4000戸と、計9万戸の下方改定となった。

 前月に比べ在庫(供給)不足はやや改善したものの、すぐ販売できる完成戸数が全体の10%と極端に少なく、住宅価格がやや低下したとはいえ、過去最高値水準に近いことから、手ごろ価格の物件が増えていないためとみている。

 6月の販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比3%減の22万9000戸と2カ月連続で減少し、20年5月以来13カ月ぶりの低水準となった。一方、建築中の新築住宅の販売件数は同8.3%減の28万9000戸と前月から減少に転じ、20年6月以来12カ月ぶりの低水準となった。完成引き渡し前に建築資材コストが急増し、建築業者が損失が広がるのを恐れて建築を控えたことが一因とみられる。

 一方、6月の住宅価格は、中央値(季節調整前)が前月比5%低下の36万1800ドルと、過去最高値となった5月の38万700ドルから低下した。販売価格帯をみると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が43%と、5月の46%を下回った一方で、15万ドルから40万ドル未満の手ごろ物件の比率は前月の55%から57%に上昇し、より低額物件にシフトした。

 地域別の販売件数は、全体の約6割を占め、販売件数が最も多い南部が前月比7.8%減(前年比24.8%減)の36万7000戸と急減。全体の約2割を占め、南部に続いて販売件数が多い西部は同5.1%減(同12.7%減)の18万6000戸、北東部は同27.9%減(同40.4%減)の3万1000戸と急減した。対照的に、中西部は同5.7%増(7%増)の9万2000戸となった。

 住宅供給(在庫)をみると、6月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む。季節調整値)は前月比7%増(前年比17.3%増)の35万3000戸と3カ月連続で増加し、08年11月(37万1000戸)以来13年7カ月ぶりの高水準となった。これを6月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準も6.3カ月相当(前月は5.5カ月分)と、20年4月(6.6カ月相当)以来14カ月ぶりの高水準となり、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回った。

 しかし、すぐに販売できる完成戸数は在庫全体の10%(3万6000戸)にすぎず、未着工件数も10万5000戸と、全体の30%も占めた。また、住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の78%の水準にとどまっており、フレディマックの最新調査によると、現在の住宅取得需要は依然強く、需要を満たすためには住宅供給は最大400万戸不足していると試算している。

 今後については、住宅建設用地や熟練労働者、建築資材の不足といったサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)により住宅建築が限定的で、住宅価格が十分に低下しにくい状況にあることから、当面は販売が抑制されると見られている。供給が増えるには今後数年間、住宅建築ペースが加速する必要があるとの見方もある。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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