米4-6月期実質GDP、前期比6.5%増―市場予想下回る

経済

2021/7/30 10:11

<チェックポイント>

●コロナ禍前の水準を初めて上回る

●個人消費が11.8%増、過去2番目の高い伸び

●景気対策の息切れや変異株の感染拡大で下期は伸び鈍化との見方も

 米商務省が29日発表した4-6月期の実質GDP(国内総生産)・速報値は、季節調整済みで前期比年率換算6.5%増となった。市場予想の8.4-9.1%増を大幅に下回ったものの、実績値の19兆3582億ドルはコロナ禍前の19年10-12月期実績値19兆2023億ドルを初めて上回った。

 市場では、ワクチン接種の進展などを背景に、今後も力強い成長を予想している一方、景気対策の効果が薄れることや、新型コロナ変異株の感染急拡大が懸念材料となっており、7-9月期の伸び率は8%超増との見方がある一方で、下期は3.5%増に減速するとの見方もある。

 GDPの主な内訳は、全体の約7割を占める個人消費が11.8%増と、前期(1-3月期)の11.4%増を上回り、4期連続の増加となった。1952年以降では過去2番目の高い伸び。この背景には4-6月期同期間に計170万2000人の雇用が創出されたことや、3月から一人当たり1400ドルの追加現金給付が実施されたことが押し上げたとみられる。

 投資部門は住宅以外の民間投資(企業投資)が8.0%増と堅調を維持したものの、住宅投資は9.8%減と前期の13.3%増から4期ぶりに減少に転じた。住宅ローン金利が過去最低水準にあることやリモートワークへのシフトで住宅取得需要は強いものの、原材料費の高騰や労働者不足で住宅建築が抑制されている。

 住宅投資を除いた民間投資の内訳は、事業所ビルや工場、石油掘削リグなどの建物に対する投資が7%減(前期は5.4%増)、企業の機械設備投資は13%増(同14.1%増)。これらに在庫投資を加えた民間投資全体は3.5%減と、前期の2.3%減に続いて2期連続で減少した。全体でマイナスとなったのは、半導体不足や木材・貴金属などの価格高騰などで企業の生産が伸び悩み、在庫投資が大きく減少したとみられる。

 外需部門では、GDP押し上げ要因である輸出が6.0%増(前期は2.9%減)と増加に転じたが、GDP押し下げ要因である輸入は7.8%増(前期は9.3%増)と4期連続で増加した。輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため、貿易赤字は1兆2590億ドルと前期より329億ドル拡大している。

 一方、政府部門(政府消費支出と固定資本形成)は1.5%減と、20年7-9月期以来3期ぶりの低い伸びとなった。特に、連邦政府は15%減(前期は11.3%増)、そのうち国防を除くと10.4%減(同40.8%増)と大幅減少に転じた。前期の大幅増の要因となった企業や家計への資金供給や失業対策など景気支援の財政支出の効果がなくなったためとみられる。

 また、今後の個人消費の先行きを占う意味で重視される可処分所得の伸びは季節調整前で前期比年率換算26.1%減(季節調整後の実質では30.6%減)と、前期の63.7%増(同57.6%増)から急低下した。可処分所得に対する貯蓄の割合である貯蓄率も10.9%と、前期の20.8%を大幅に下回っている。額面の貯蓄額も1兆9860億ドルと、前期の4兆0730億ドルからほぼ半減した。

 インフレ動向を示し、名目GDP伸び率(13%増)から実質GDP伸び率を算出するときに使われる物価指数であるGDPデフレーターは、前期比年率換算で6%上昇と、前期の4.3%上昇や市場予想の5.4%上昇を上回った。一方、PCE(個人消費支出)物価指数も6.4%上昇と、前期の3.8%上昇から伸びが加速し、82年以来39年ぶりの高い伸びとなった。また、FRBが最も重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)も6.1%上昇(前期は2.7%上昇)と、83年以来38年ぶりの高い伸びとなり、FRBの物価目標の2%上昇を大きく上回った。物価上昇の背景には企業在庫の減少の理由となった半導体不足や木材・貴金属などのコモディティ(国際相場商品)価格の高騰がある。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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