<中原圭介の相場観>日経平均3万円の攻防で俯瞰しておきたいポイント

コラム

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2021/9/13 8:28

 日経平均株価は3万円の攻防を続けている。今後の注目すべき点は、2月16日の取引時間中高値3万714円を超えてくるかどうかだが、そのタイミングで2つの懸念材料が浮上してきた。

リスクが顕在化

 8月31日の当欄では、海外投資家の買う環境が整い、株価が上昇する見通しの中で、(1)米国株の調整リスク(2)トヨタ自動車(7203)の追加減産リスク(3)中国経済のピークアウト感、の3つの懸念を挙げた。そのうち、先週は(1)と(2)の問題が顕在化してきたのだ。

 まず(1)についてはNYダウは3万4607ドルと5日続落し、週間で761ドル安と3カ月ぶりの下げ幅となった。仮に8月16日の最高値3万5631ドルからの「健全な調整」を5%とすれば、あと750ドルあまり下げる余地がある。10%なら2500ドルの下げ幅が潜在する。

 今週はある程度戻すことを想定しているものの、9月下旬~10月初旬まで調整しても焦らない対応をしておくべきだろう。

 (2)については、トヨタが10日に9月に追加で7万台、10月に33万台を減産する計画を公表した。それに加えて、今3月期の生産台数の見通しを930万台から900万台へと下方修正もした。

 同社は通期の業績予想を変更しないというが、生産下ブレの要因の1つである東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化するメドは現時点で立っていない。このため、業績の下方修正も視野に入るとみている。

押し目想定も需給的に下げにくく

 日経平均はトヨタが9月に4割の減産をすると公表した8月20日に2万6954円の安値を付けた(「トヨタ・ショック」)。今回は2回目のショックによって年初来高値付近から押し戻されてしまうのだろうか。正直それは分からないが、チャートだけで判断すると2万8500~2万9000円程度までの押し目があってもおかしくない。

 しかしその一方で、需給的に下げにくい構造も無視できない。日経平均が3万円に駆け上がる過程で、個人を中心に反落を予想したポジション形成が増えていたからだ。とりわけ、日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(=日経ダブルI、1357)の信用買い残が2倍程度(8月27日時点の4685万口から3日時点の1億141万口)へ増加した点は注目される。

 結局のところ、海外投資家が買い越し基調を継続し、踏み上げ相場を狙う戦略を取るのか、それとも、利益確定を進めて上下に動かす戦略を取るのか、彼らの考え次第で今回の3万円の攻防の決着をみることになるだろう。

(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

(写真:123RF)

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