米8月小売売上高、前月比0.7%増―市場予想0.8%減に反するサプライズ

経済

2021/9/17 9:35

<チェックポイント>

●オンライン小売や家具が急増―デルタ株感染でもモノ消費需要は旺盛

●自動車・同部品が4カ月連続で大幅減少―在庫不足と価格上昇が主因

●コア小売売上高は前月比2.5%増―5カ月ぶりの高い伸び

 米商務省が16日発表した8月小売売上高(季節・営業日調整後)は前月比0.7%増の6187億ドルと、7月の同1.8%減(改定前1.1%減)から増加に転じ、市場予想の0.8%減に反し、サプライズとなった。デルタ株感染拡大にもかかわらず、モノ消費の需要が旺盛となった。他方、自動車・同部品販売は前月に続いてサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)による在庫不足や価格上昇により、4カ月連続で大幅に落ち込んだ。前年比は前月と同率の15.1%増となった。前年同期の数値が低かったため、高めの伸び率となる、いわゆるベース効果が出た。

 前月比では、全13業種のうち10業種が増加した一方で、3業種が減少した。月ごとに変動が大きい自動車・同部品とガソリン販売を除くと、増加幅が最も大きかったのはオンライン小売の5.3%増(7月は4.6%減)、次いで家具の3.7%増(同0.4%減)、百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売の3.5%増(同1%減)、グローサリーストア(食品雑貨店)を含む食品・飲料水販売の1.8%増(同0.8%減)、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」は1.4%増(同0.5%増)だった。

 このほか、ホームセンターなど建築資材・園芸は0.9%増(同1.0%減)となり、外食(レストラン・バー)は横ばい(同1.3%増)となった。ヘルス(薬局・美容)は0.2%増(同0.8%減)、アパレルは0.1%増(同2.7%減)だった。

 対照的に、減少幅が最も大きかったのは電子機器・家電の3.1%減(同1%減)。次いで、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍の2.7%減(同1.9%減)だった。

 月ごとに変動が大きい自動車・同部品は前月比3.6%減(7月は4.6%減)と、4カ月連続で大幅に落ち込んだ。前月同様、自動車用半導体の供給不足で減産に追い込まれたため、在庫不足で販売が落ち込んだことや、サプライチェーンのボトルネックによる原材料費の上昇で販売価格が急上昇したことも販売減少につながった。自動車・同部品だけを除いた小売売上高は同1.8%増(同1.0%減)となり、市場予想の同0.2%減を大幅に上回った。ガソリンスタンドはドライブ需要の増加に加え、最近のインフレ加速によるガソリン価格の急上昇の影響も加わり、同0.2%増(同2.0%増)だった。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比2.5%増と、増加に転じ、5カ月ぶりの高い伸びとなった。この結果、10月28日発表の7-9月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費を押し上げると見られる。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標となっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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