クロスマーケ五十嵐幹代表取締役社長兼CEOに聞く=デジタルマーケティング事業を主力に飛躍へ

株式

2021/9/21 9:27

 クロス・マーケティンググループ<3675.T>は従来のインターネット・リサーチを中心とした事業構成から、デジタルマーケティング事業を中心に据え、デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を加速することで、総合マーケティングソリューション企業としてさらなる成長を目指している。同社の現状と今後について五十嵐幹代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。

 ――前6月期(2021年1-6月の変則決算)から事業構成を変更し、新たにデジタルマーケティング事業、データマーケティング事業、インサイト事業としました。主力となるデジタルマーケティング事業について教えてください。

 「近年、消費者の購買行動がデジタル中心になってきました。新型コロナウイルスの感染症拡大が、こうした状況を加速させている面もあります。その中で、事業構成を変更することにより、特に成長が見込める領域として、デジタル・ITを中心としたプロモーション、EC(=Eコマース、電子商取引)・マーケティング支援などデジタルマーケティング事業に注力する方針を明確にしました。1月にはオンラインとオフラインでサンプリングを通じた商品プロモーションを展開するドゥ・ハウスを子会社化し、事業の強化を図っています」

 ――データマーケティング事業、インサイト事業はいかがですか。

 「従来のリサーチ事業について、オンラインネットワークを活用したデータ収集を中心とする領域をデータマーケティング事業、顧客の課題解決に向けたコンサルティング、消費者のインサイト発掘などソリューションを提供する領域をインサイト事業と、2事業に分割しました。現在は個人情報保護法で消費者データを取ることが難しくなっていますが、当社には1000万人超のパネルネットワークがあり、個人にアクセスできる点が強みです。さらに、グループ全体で300人超のデータ・アナリストもおり、これらを活用して生活者の『WHY?』を発掘し、データを分析して課題解決につなげ、顧客のマーケティング活動の意思決定を支援します。両事業による生活者データの分析・理解をデジタルマーケティング事業によるマーケティング実行支援に生かせる点も当社の強みです」

 ――前6月期は連結売上高が107億5800万円(従来予想105億円)、営業利益10億700万円(同8億4700万円)と計画を上回って着地し好調でした。

 「前期は1-6月としては過去最高の売上高、利益を計上しました。デジタルマーケティング事業が好調だった上、データマーケティング事業の米国子会社Kadence USで大型案件を受注しました。ドゥ・ハウスを連結子会社化したことも寄与しています。コスト削減を進め、筋肉質な体質になったことも効果を上げましたが、同時にデジタルマーケティング領域を中心に投資すべきところは投資を実行したことで、サービスや事業の拡充に成功したことがV字回復以上の業績につながりました。今後もグループシナジー(相乗効果)の追求などで採算性の向上に努めるのと同時に、デジタルマーケティング領域を中心に成長を加速させていくつもりです」

「マーケティングDXパートナー」として連結売上高300億円目指す

 ――22年6月期から中期経営計画「DX Action2024」をスタートしました。

 「当社は『マーケティングDXパートナー』としてデジタルを活用し、データの分析による『生活者理解』『WHYの解明』を通して戦略立案から実行までのワンストップサービスを展開し、顧客のビジネスの成功を支援します。中でも、デジタルマーケティング事業はサービスと業務のDX推進、データのDX化による新たな付加価値の提供、AI(人工知能)を活用した業務のオートメーション化などを推進し、売上高の倍増を目指します。また、ベンチャー精神を忘れず、小規模の新規事業を複数立ち上げるとともに、既存事業の拡充、M&A(企業の合併・買収)などにも積極的な投資を継続します。これまでも投資しながらの成長を実現しており、それ以上の成長に取り組みます。最終年度の24年6月期の目標は時価総額300億円(9月2日181億円)、売上高300億円(22年6月期予想230億5100万円)、営業利益30億円(同19億300万円)です」

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ