<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を7会合連続で据え置き―市場予想通り

新興国

2021/9/22 11:25

 インドネシア中央銀行(BI)は21日の理事会で、デルタ株の感染拡大による経済への悪影響を緩和し、ルピア相場を安定させ、景気を支援するため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデック(世界的大流行)による景気悪化を受け、20年2月から7月まで4会合連続で利下げを実施。その後、11月会合、21年2月会合で利下げを再開し、利下げ幅は20年2月以降で計1.50ポイントに達している。据え置きは前回8月会合に続いて7会合連続。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回会合時と同様、「今回の据え置き決定は、低インフレが今後も続くと予想される中、景気回復を支援する一方で、(ドルに対し下落している)通貨ルピア相場と金融システムを安定させる必要性と合致する」とした。

 その上で、今後の金融政策についても、前回会合時と同様、「マクロ経済と金融システムの安定を維持し、一段の景気回復の措置を支援するため、ポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を最適化していく」とした。

 具体的にはルピア相場の安定(過度の相場下落阻止)のため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、(ドル売り・ルピア買いの)市場介入を実施することや、引き続き、金融緩和スタンスの有効性を補完するため、公開市場操作(オペ)を強化するとしている。

 ルピア相場については、「ルピア相場は国内景気の回復見通しやわれわれの為替相場安定策、安定した海外からの資金流入により、(主要通貨に対し)強い状態が続いている」とし、デルタ株感染拡大の小康化し、国内経済活動の再開の動きが強まっていることを受け、ルピア相場が堅調となっていることを強調した。その上で、「タイやマレーシア、フィリピンに比べ、自国通貨安の進行は緩やかだ」とした。

 インフレ見通しについては、「インフレ率は8月のCPI(消費者物価指数)が前年比1.59%上昇と、7月の1.52%上昇から加速した。食品と(公共料金など)政府統制物価の上昇圧力がやや高まっている」、「コアインフレ率は為替相場が安定していることや、国内需要が圧迫されているため、低水準で維持されている」とした上で、「21年と22年のインフレ率は物価目標(3%上昇±1%)の範囲内で推移するようコミットする(積極的に関わる)」との姿勢を示している。

 景気見通しについては、「国内経済は7月の景気減速のあと、8月から9月初めにかけ、移動制限の緩和により、経済活動が徐々に改善した」とデルタ株感染の影響が緩和していることを強調。その上で、「今後は経済活動の再開が進み、ワクチン接種の加速と輸出拡大により、景気改善が続く」とした。21年の成長率見通しについては前回予測の3.5-4.3%増を据え置いている。

 次回の金融政策決定会合は10月18-19日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、iSエマジン<1582.T>、

 アセアン50<2043.T>

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