米8月中古住宅販売件数、前月比2%減の年率588万戸―市場予想下回る

経済

2021/9/24 9:06

<チェックポイント>

●価格上昇で販売件数は減少したが、需要は強く、在庫待ち―NARチーフエコノミスト

●販売価格中央値35万6700ドル―2カ月連続で低下

●新規住宅取得者の比率が29%に低下―手ごろ物件不足で

 NAR(全米不動産業協会)が22日発表した8月中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比2.0%減の年率換算588万戸と、7月の同2.2%増から3カ月ぶりに減少し、市場予想の589万戸をやや下回った。

 一方、季節要因を無視できる前年比は1.5%減となり、14カ月ぶりに前年水準を下回った。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅価格が全国的に上昇したため、住宅販売件数が減少した。住宅購入希望者は依然、(手ごろな価格の)物件を探しており、中古住宅の在庫(供給)待ちとなっている」とし、需要は強いと見ている。

 住宅供給の過不足感を示す8月時点の未販売住宅(在庫)は前月比1.5%減の129万戸と、6カ月ぶりに減少した。8月の販売ペースに換算した在庫水準は2.6カ月分と、7月と変わらなかった。このうち、一戸建て住宅の在庫は前月比0.9%減の112万戸と、4カ月連続で100万戸台を維持した。

 8月の在庫量(戸数ベース)は前年比では13.4%減となり、統計開始の82年以来の低水準が続いている。中古住宅市場が深刻な在庫不足でタイトとなっているため、消費者は新築市場にシフトする傾向を一段と加速させている。

 地域別販売件数を見ると、全体の4割以上を占め、最もウエートが大きい南部は前月比3%減(前年比0.8%減)の255万戸となり、3カ月ぶりに減少に転じた。北東部も同1.4%減(同2.7%減)の73万戸、西部も同0.8%減(同1.6%増)の123万戸と、3カ月ぶりに減少。中西部も同1.4%減(同2.1%減)の137万戸となった。

 中古住宅価格は中央値で前月比0.8%低下の35万6700ドルと2カ月連続で低下したが、前年比は14.9%上昇と114カ月連続で前年水準を上回った。

 住宅価格が低下しない要因の一つに、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が今なお細っていることがある。8月のディストレスト物件の販売比率は1%弱と、7月や1年前と変わらなかった。

 一方、手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、8月の新規住宅取得者の比率は29%と、7月の30%から低下し、1年前の33%を下回った。住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)は相変わらず弱く、住宅購入者は厳しい住宅購入競争に晒されている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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