米8月新築住宅販売、前月比1.5%増の74万戸―2カ月連続増加、市場予想上回る
2021/9/27 10:01
<チェックポイント>
●在庫(供給)不足の状況が改善も、価格高騰で住宅取得能力の低下が懸念材料
●販売価格中央値は過去最高値を更新―前年比20%上昇
●主要都市の南部、西部での販売増が寄与
米商務省が24日発表した8月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比1.5%増の年率換算74万戸と、7月の同6.4%増(改定前は1.0%増)からさらに伸び、2カ月連続で増加した。4月(79万6000戸)以来4カ月ぶりの高水準となり、市場予想の71万5000-72万戸を上回った。
前年比では24.3%減と、7月の25.0%減(改定前は27.2%減)に続き、3カ月連続で前年水準を下回り、水準的には14年ぶりの高水準となった20年の82万2000戸やパンデミック前の1月の75万6000戸を大きく下回った。
過去3カ月の販売件数は、5月は前回発表時の72万戸から73万3000戸、6月は70万1000戸から68万5000戸、7月は70万8000戸から72万9000戸と、計1万8000戸の上方改定となった。
市場では、7月に比べ在庫(供給)不足の改善が進んだが、建築業者がコスト上昇による採算割れを警戒して建築を控えているため、すぐ販売できる完成戸数が全体の約10%と、極端に少ないことや、住宅価格が過去最高水準となっていることから、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)は弱まっているとみている。
8月の販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比24.0%増の26万3000戸と、2カ月連続で増加し、4月(27万8000戸)以来4カ月ぶりの高水準となった。一方、建築中の新築住宅の販売件数は同3.7%減の31万1000戸と、2カ月連続で減少し、4月(31万6000戸)以来4カ月ぶりの低水準となった。完成引き渡し前に建築資材コストが急増し、損失が広がるのを恐れ、建築業者は建築を控えている。
住宅価格中央値(季節調整前)は、前月比0.1%増の39万900ドルとなり過去最高値(7月の39万500ドル)を更新、前年比も20%上昇となった。販売価格帯をみると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が51%と、7月の49%を上回った一方で、15万ドルから40万ドル未満の手ごろ物件の比率は7月の52%から48%に低下し、より高額物件にシフトした。
地域別の販売件数は、全体の約6割を占め、販売件数が最も多い南部が前月比6%増(前年比23%減)の44万5000戸となった。全体の約2割を占め、南部に続いて販売件数が多い西部は同1.4%増(同16.3%減)の21万5000戸にとどまった。北東部は同26.1%増(同37%減)の2万9000戸と、急増したが、中西部は同31.1%減(同46.9%減)の5万1000戸と依然不振が続いている。
住宅供給(在庫)をみると、8月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む、季節調整値)は前月比3.3%増の37万8000戸と、5カ月連続で増加し、08年10月(38万1000戸)以来12年10カ月ぶりの高水準となった。これを8月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は6.1カ月相当(7月は6カ月分)と、20年3月(6.3カ月相当)以来17カ月ぶりの高水準となり、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回った。
しかし、すぐに販売できる完成戸数は在庫全体の9.5%(3万6000戸)にすぎず、未着工件数も10万5000戸と、全体の28%も占めている。また、在庫全体でも住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の84%の水準にとどまっている。
今後の見通しについては、市場ではサプライチェーンのボトルネック(制約による原材料不足)や労働者不足により、建築コストが上昇し、手ごろな価格帯の住宅供給が困難なことや、住宅価格の上昇で住宅購入者のアフォーダビリティーが低下しているため、顕著な伸びは期待できないと見ている。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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