<中原圭介の相場観>「岸田ショック」は後付け解釈、レンジ相場継続へ
足元の米国株に対して日本株の下落率の方が大きかったため、一部で「岸田ショック」とささやかれている。しかし、海外投資家の岸田首相に対する評価は日本の投資家が思っているほど低くはないのではないだろうか。
海外勢の先物売買に敏感
確かにNYダウが取引時間ベースの史上最高値から5.7%、ナスダック指数が7.7%それぞれ調整したのに対して、日経平均株価は11.4%、TOPIX(東証株価指数)は9.1%もの下落を強いられた。岸田首相の唱えていた金融所得課税の強化が取りざたされたのも仕方がない。
しかし、それでも岸田ショックは後付けの解釈にすぎない。本当のところは海外投機筋の先物に対する売り仕掛けが暴落の主因だったと考えられる。
海外投資家は9月第1~3週に日本株を先物・現物合わせて約1兆9600億円も買い越していたが、第4、5週は一転して2兆円超売り越している。そのうち6割超が先物。投機筋のさじ加減で日本株はいくらでも上下にフレるということだ。
2万7000~3万1000円
今年の日経平均を振り返ってみると、高値から2000円以上下落する局面は3月に2回、5月に1回あったが、いずれのケースも海外投機筋による先物の大幅な売り越しと重なる。しかし、売ったものは買い戻さなければならないので、その後株価は戻すことになる。
海外勢は10月第1週も売り越しているかもしれない。そして今週は買い戻しの週になる可能性が高い。
前稿でも指摘した通り、日経平均は2万7000~3万1000円(厳密には2万6954~3万795円)で推移すると予想する。いわゆる「不測の事態」を想定しても、レンジ相場の前提に立てばポジションをレンジの上方で縮小し、下方で拡大するのがセオリーだ。少なくとも年内は、そうした戦略が機能すると思われる。
(アセットベストパートナーズ 中原圭介)
(写真:123RF)
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