多摩川HDが急騰、小型原子時計向け「ガスセル」論文を国際会議で発表

株式

2021/11/30 12:29

 多摩川ホールディングス<6838.T>が前場に、一時前日比16.6%高の1167円まで値上がりした。小型原子時計向け気体封入容器の小型化技術の開発成果に関する論文が、機械要素部品のMEMS(メムス)の国際会議で採択されたことが好感された。

 同容器は「ガスセル」と呼ばれ、原子時計においては時間を計測するための電磁波を発するアルカリ原子を封入する中核部品。多摩川HDは時刻のずれを2000年に1秒程度に抑える性能を維持した上で、サイズは従来品の半分に当たる4ミリ角に縮小する技術を確立した。

 論文は、IEEE(米国電気電子学会)の国際会議の「MEMS2022」(来年1月9-13日)で発表する。同社と研究を進めている東北大学工学研究科・小野崇人教授と、東北大学マイクロシステム融合研究

開発センター・古屋泰文学術研究員(元東北大学特任教授、弘前大学名誉教授)が共同で執筆した。

 ガスセルの小型化により、スマートフォンのようなモバイル機器に原子時計を搭載できるようになるほか、IoT(モノのインターネット)領域でも普及が期待される。多摩川HDはまず、研究機関向けなどにガスセルの販売を開始する。さらに3-5年内に小型原子時計の展開を本格化させる構え。原子時計の技術はモバイル機器のほかにも、自動運転や心電図などの医療機器への展開が見込まれる。

提供:モーニングスター社

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