ハークスレイ、店舗不動産の運用に進出――飲食業界活性化に商機
持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」で知られるハークスレイ(7561)は、店舗不動産に特化した私募ファンドの運用に乗り出した。飲食店などが入居する駅前立地の商業ビルを中心に物件を集め、将来的なリート(不動産投資信託)上場も視野に入れる。
ファンド設立、コロナ禍でニーズ
グループで飲食店の店舗委託事業を手掛ける「店舗流通ネット」の子会社「TRNインベストメント・マネジメント(TIM)」が、このほど5物件を組み入れた私募ファンド(投資総額77億円)を設立。金融機関や事業法人が出資し、店舗流通ネットグループは同ファンドに販売用不動産約30億円を売却した。
長引くコロナ禍により撤退する飲食店が多く、稼働率の低下に苦しむ商業ビルのオーナーは増えている。特に20~30坪(1坪=約3.3平方メートル)の小型物件は、専門的にテナントを誘致する事業者も手薄で空き状態が続きやすい。このため、店舗ビルの売却ニーズは強まっている。
同社はこうした状況に商機を見いだした。店舗委託事業で培ったリーシング(賃貸物件の仲介や客付け支援)のノウハウを活用し、店舗不動産のリート化(証券化)を視野に入れる。ファンドに組み入れることで、財務負担の軽減を図り資産効率を高められる利点もある。
リート組成視野、特化型は日本初
取得する不動産は主要駅前や商店街にある好立地の商業ビルで、飲食店向けの需要のすそ野が最も広い30坪程度の物件をメーンターゲットにしている。TIMの運営する物件の稼働率はコロナ禍でも95%を維持し、後継テナントの後付率も約99%と極めて高い。
TRN新宿ビル
設立したファンドを構成する東京・新宿の地上7階・地下1階のビルでは、テナントが退去していたフロアを、従来より高い賃料で埋め戻した。大宮駅(埼玉県)近くの物件も、新型コロナウイルスの影響で空きが出ていた4フロアすべてを同水準の賃料でのリテナントに成功。美容室など飲食店以外の誘致にも力を入れている。
TRNの1号ファンドの運用期間は5年。2024~25年にリートを組成し、物件売却の受け皿にする。同社の松本取締役は「今後も妙味のある物件を探し、年間1~2本のペースでのファンドの新設を目指す」と話す。将来的には500億円規模が目安の上場リートに発展させたい考えだ。店舗不動産に特化したリートは日本にまだなく、同社の試みは初となる。
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