FOMC、テーパリング加速を決定―22年は年3回の利上げ見通し
<チェックポイント>
●資産買い入れ額を月300億ドルに倍増―量的金融緩和22年3月終了見通し
●FOMC委員の利上げ予測―22年3回、23年3回利上げが大勢
●雇用の改善・最大化以上にインフレ抑え込み優先―パウエルFRB議長
FRB(米連邦準備制度理事会)は15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を現状のゼロ金利(0.00-0.25%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。一方、テーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)については削減ペースを150億ドルから300億ドルに引き上げ、1月中旬以降も同額の減額を継続することを決めた。これにより、22年3月には量的金融緩和が終了する見通しとなった。FRBはタカ派(インフレ重視の強硬派)寄りに大きく方向転換した。ただ、「経済見通しのリスクとなるオミクロン株の動向により変動する」と出口戦略を加速させつつ慎重姿勢も示している。
また、18人のFOMC委員による最新の12月経済・金融政策見通し(中央値ベース)では、22年3回、23年3回、24年2回の利上げを示唆している。
今後の焦点は利上げ開始時期となるが、パウエルFRB議長は会合後の会見で、テーパリングが終了するまで利上げに転換しない方針を改めて強調したが、「米経済は雇用の最大化に向かって急速に進展している」と述べ、「雇用の最大化」の目標達成前にも利上げ開始の可能性を示唆。インフレの抑え込みを優先する考えを示した。
FRBは資産買い入れ減額ペースの拡大について、声明文で、「インフレの進展と労働市場のさらなる改善を考慮した」としている。最近のインフレの加速については、FRBは、「インフレ率がしばらくの間、(物価目標の)2%上昇を超えている」とした上で、「パンデミック(感染症の世界的大流行)と経済の再開に関連した需給の不均衡がインフレ率の上昇に寄与し続けている」とし、インフレ加速が持続していることを認め、前回会合時で使われた「インフレは主に一時的要因で加速している」との文言を削除した。
資産買い入れにより、FRBの保有国債は現在、8兆7000億ドルと、1年前の2倍超に達しているが、このバランスシートの正常化を目指す、保有国債の減額について、パウエル議長は会合後の会見で、「一切、決定していない」とした。
FF金利の見通しでみると、21年が0.1%(同0.1%)と変わらなかったが、22年は0.9%(同0.3%)、23年は1.6%(同1.0%)、24年は2.1%(同1.8%)と、いずれも引き上げられた。
また、PCE(個人消費支出)物価指数でみた12月のインフレ見通しは、21年のコア指数が4.4%上昇(前回9月予測は3.7%上昇)、22年は2.7%上昇(同2.3%上昇)、23年は2.3%上昇(同2.2%上昇)と、いずれも引き上げられた。24年は2.1%上昇(同2.1%上昇)に据え置かれたが、全体的にインフレ加速は一時的と見ている。全体指数では21年は5.3%上昇(同4.2%上昇)、22年は2.6%上昇(同2.2%上昇)、23年は2.3%上昇(同2.2%上昇)と、いずれも引き上げられた。24年は2.1%上昇(同2.1%上昇)に据え置かれている。
GDP(国内総生産)見通しは21年が5.5%増(同5.9%増)と、下方修正されたが、22年は4%増(同3.8%増)と、上方修正された。23年は2.2%増(同2.5%増)、24年は2%増(同2%増)。また、失業率は21年が4.3%(同4.8%)、22年は3.5%(同3.8%)と、いずれも引き下げられた。23年と24年はいずれも3.5%(同3.5%)と、据え置かれた。
次回会合は22年1月25-26日に開かれる予定。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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