株式新聞・相場アンケート(為替)――円安シナリオ、上限120円超圧倒的

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2021/12/30 17:30

 2022年のドル・円相場の平均は、1ドル=115円が最多の21票(有効回答の50%)を集めた。2位は116円と117円が同数の4票にとどまり、例年に比べてばらつきが小さい結果になった。レンジ見通しの上限は120円以上になるとの見方が28票で圧倒的だった(最上限は130円1票、下限は110円が最多の16票)。世界的なインフレ進行、そしてFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げを強く意識した円安シナリオだ。

22年もインフレ動向焦点

 21年は世界経済がコロナ禍から再開し、電力需要の回復と供給制約によって多くの資源の価格が上昇。人手が足りず、コンテナ不足を背景とした物流網の混乱もあり、インフレ懸念の高まりを受けてドル・円は6年ぶりに上昇に転じた。昨年のアンケートは1ドル=105円が予想の中心だったが、21年11月には一時115円台半ばまで上昇しており、市場関係者の想定とのカイ離が鮮明化した。

ドル・円

 22年もインフレの動向がドル・円のカギを握る。資源価格は原油先物の上昇が足元で一服したが、欧州を中心に天然ガス価格が高騰するなど警戒感が残る。また、大豆やトウモロコシといった穀物価格の動向にも注意が必要だ。新興国を中心にFRBに先んじて利上げに踏み切るケースが目立っている。(画像クリックで拡大版にジャンプ)

日銀総裁の後任人事も意識

 21年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、22年に年内3回の利上げ見通しが示された。日銀は金融緩和を続けており、日米の金融政策の違いからドル・円には上昇圧力が掛かりやすい状況が続く。

 一方、新型コロナウイルスの感染状況次第では世界景気の再失速も懸念される。こうした場合は円高・ドル安が進む可能性がある。なお、円高寄りのアンケートの回答ではレンジ下限1ドル=108円が5票と比較的多く、100円以下はわずか1票となった。

 日本の金融政策が大きく変わる可能性は当面低いとみられるが、世界各国の中央銀行が金融緩和の縮小に動いており、日銀にも圧力が掛かる思惑が向かう。黒田東彦総裁は23年4月に任期が満了するため、22年の参議院選挙後には後任人事をめぐって為替市場に不透明要素が増しそうだ。

(写真:123RF)

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