株式新聞・相場アンケート(注目株・穴株)――1位のトヨタは死角なし!?、2位にソニーG
市場関係者が選んだ2022年の注目株(質問は「22年の活躍が期待される日本株」、2銘柄まで)で堂々の1位に輝いたのは、トヨタ自動車(7203)
だ。10票を集め、実に7年ぶりのトップに返り咲いた。
(図表(1)参照、右の画像クリックで拡大)
EV展開本格始動へ、株価は新局面
日本代表企業ゆえに毎回複数票を獲得する上位の常連だが、もうひと伸び足りずにほかの銘柄に王座を譲るケースが続いていた。しかし、今回は違う。コロナ禍や半導体不足による厳しい事業環境の中でも、今3月期の業績は絶好調。連結営業利益は直近の7~9月(第3四半期)に7500億円(前年同期比48%増)と市場予想を大幅に上回り、通期計画を2兆5000億円から2兆8000億円(前期比27%増)に上方修正している。
目先は減産後のばん回生産が期待される同社。中・長期的にはEV(電気自動車)戦略に期待が掛かる。今月14日には30年までに30車種のバッテリーEVを投入し、年間350万台の販売を目指す方針を明らかにした。EV全体で4兆円の投資を見込み、うち電池の開発や量産に2兆円を充てる。
(EV戦略を説明するトヨタの豊田章男社長(トヨタ提供))
株価(分割調整後)は21年5月に15年の最高値(1756.6円)を奪回して新局面入り。その後も底固く水準を切り上げ2000円台に乗せている(30日終値2105.5円)。強じんな収益力と経営ノウハウ、そしてついに本格化するEV展開と死角のない状態がアンケート結果に反映された形だ。
勝ち馬の同社の盟友である系列部品メーカーのデンソー(6902)も、3票で同点4位にランクインした。
直近5年順位「2・2・1・1・1」
2位は7票のソニーグループ(6758)。順位・票数とも前回と同じで、ここ5年ではトップが3回、2位が2回の好成績が続いている。実際の相場も人気に恥じない動きを続け、直近付けた21年高値の1万4745円は17年末比で3倍に迫る。
半導体にゲーム、映画と幅広い分野で有力な製品・コンテンツを持つ同社。11月には今3月期業績予想を上方修正。また、上限2000億円規模の自社株買いも続けており、株主還元に対する市場の評価も高い。
巣ごもり需要の反動や半導体不足の影響を懸念する見方も市場にあるものの、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾TSMCとの日本での新工場建設など、経済安保に絡んでも重要な存在といえる。ITバブル期に記録した上場来高値(調整後で1万6950円)への視界も開けてくる可能性がある。
3位は前出のデンソーのほか、富士電機(6504)とJR東海(9022)が3票で並んだ。複数票の獲得はデンソーが4年ぶりで、他の2つは少なくともここ10年では初めてだ。富士電機はパワー半導体による業績成長のけん引が期待される。JR東海は、アフターコロナの観点から選出されたと考えられる。
2票はオリエンタルランド(=OLC、4661)、日本製鋼所(5631)、三菱重工業(7011)の3銘柄。一方、前回トップの日本電産(6594)は1票にとどまりランキング圏外に陥落した。
(図表(1)、(2)、(3)参照、右の画像クリックで拡大)
穴株は十人十色、30銘柄超に分散
穴株には無回答も多かったものの、単票が31銘柄に分散した(1回答者1票)。あえて対象の条件は設けずその概念も定義していないため、まさに十人十色のバラエティー豊かな「穴株」が寄せられた。
(図表(4)参照、右の画像クリックで拡大)
アフターコロナ関連ではオープンドア(3926)や日本航空(=JAL、9201)、エイチ・アイ・エス(=HIS、9603)が浮上。長びくコロナ禍が今度こそ終息することへの期待が反映された。また、パワー半導体関連のMipox(5381・JQ)やサムコ(6387)など、成長分野を陰で支える有力企業がピックアップされている。
直近IPO(新規上場)銘柄では湖北工業(6524・(2)、電気機器)を推す声もある。同社は光ファイバー通信網用の部品を手掛け、岸田首相の「デジタル田園都市国家構想」にもリンクするか。さらには、話題のメタバース関連からメタリアル(6182・M)やIMAGICA GROUP(6879)などが選ばれた。
なお、前回のアンケートの穴株はANAホールディングス(9202)が3票を集めた。期待に応え、21年は20年末比で30%高まで値上がりした。このほか、タムラ製作所(6768)や東芝(6502)、アイフル(8515)などが高いパフォーマンスを上げている。
「上値が重い銘柄・業種」は?
今回から新たに加えた「上値が重いと思われる銘柄もしくは業種」という質問の回答(複数可)で最も多かったのが、9票の海運だ。
(図表(5)参照、右の画像クリックで拡大)
東証業種別指数「海運」は21年9月に1201.52ポイントを付け、20年末の319.99ポイントから3.8倍に跳ね上がった。世界的な物流の混乱を背景にコンテナ船などの運賃が急上昇した。足元でも根強い人気に支えられているものの、特需の反動への警戒が得票に結び付いたようだ。一方でアナリストの間では強気の見方が多く、強弱感が対立している。
やはり大きく値上がりした半導体関連も、4票を集めた。東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)はコロナ・ショックを経て屈指の値がさ株と化しており、22年には上昇波動が一服するとみる向きがある。このほか、投資事業で中国リスクを抱えるソフトバンクグループ(9984)や、「巣ごもり関連」、「テレワーク関連」という回答が寄せられた。
(写真:123RF)
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