規模とスタイルで見る日米株、共通点と相違点を参考に2022年に備える
規模やスタイル別で2021年の相場を振り返ると、日本株と米国株でパフォーマンスの違いが浮かび上がった。マクロ経済の状況と組み合わせて分析してみると、2022年の相場を占う上で役立つヒントが見えた。まずは、日米それぞれの市場を規模とスタイルで見てみよう。
日本株は、大型、そしてバリュー優位
図表1:日本株は年後半に大型優位に
2021年の日本株式市場のパフォーマンスを大型、中型、小型の規模で表すと、大型株が優位となった。すべての規模別指数は10月頃まで明確なトレンドの違いを示さなかったが、年末にかけては大型株が底堅く推移した一方、小型株の下落が目立った。大型株は13.3%上昇したのに対し、中型は12.1%、小型は8.0%の上昇にとどまった。スタイル別では、全ての規模においてバリュー株優位の結果となった。
年を通じ「2つのモード」、大型優位は日本と変わらず
次に米国の状況を見てみよう。まず、規模別では日本と変わらず大型株が30.0%上昇と中型の25.5%、小型の18.6%を上回った。
図表2:米国株はダイナミックな変化
ただし、米国では年前半は中・小型株優位、年後半に大型株が逆転するといった、ダイナミックな変化を見せた。年前半は新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことや、FRB(米連邦準備制度理事会)による大規模金融緩和に変化が見られなかったことなどからリスクオンの状態となり、中・小型株に資金が集まったと見られる。年後半に入ると、FRBによるテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)開始の前倒しや、早期利上げ観測などに加え、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の再拡大などリスクオフの動きが広がり、小型株が大幅に調整、底堅い大型株とのかい離が一気に拡大したことが分かる。米国モーニングスターでは、年を通じたこの変化を「Two Modes(2つのモード)があった」(「Forget Value vs. Growth--Size Drove Returns in 2021」から抜粋)としている。
米国のスタイル別のパフォーマンスでは、大型についてはグロース、バリュー株共に好パフォーマンスとなった一方、中・小型ではバリュー株が優位となった。
米国で大型株のパフォーマンスが良好だった背景には、米大型株はテクノロジーや通信セクターが占めており、テレワークの浸透などが追い風となったようだ。また、新型コロナ感染症拡大が逆風とならなかった企業、例えばテスラ(TSLA)やファイザー(PFE)、モデルナ(MRNA)などが含まれていることも要因と見られる。(画像クリックで拡大版にジャンプ)
日米での共通点
あくまでも2021年の動きではあるが、日米共にリスクオフとなった場合は大型のバリュー株が買われやすく、中・小型株のグロース株のパフォーマンスはさえないという特徴は共通のようだ。逆に言えば、今後リスクオンとなった際には、割安感が出ている中・小型株のグロース株のパフォーマンスには期待できるかもしれない。2021年のこうした特徴的な動きは2022年を占う上で参考情報となる。
足元ではオミクロン株による新型コロナウイルス感染症の再拡大に懸念が広がる一方、FRBによるテーパリング開始や利上げ開始の局面も迫る。2022年にはこうした規模やスタイル別の動きも気にして、相場を予測してみるのもありかもしれない。
(宮本 裕之)
(写真:123RF)
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