<年末年始特集>資金フローにみる2021年の人気ファンド-際立つ米国株ファンドの存在感(2)

投信

2021/12/30 17:56

(1)からつづく

―個別ファンドトップは「AB・米国成長株投信」、第2位は日興の大型設定ファンド―

 個別ファンドの2021年の純資金流出入額を見ると、純資金流入額上位5ファンドのうち国際株式型ファンドが4ファンドを占めた。

 トップはアライアンス・バーンスタインの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(AB・米国成長株投信Dコース(H無)予想分配金)で7896億円の純資金流入となった。同シリーズの「Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」も純資金流入額第6位(2460億円の純資金流入)、「Bコース(為替ヘッジなし)」も12位(1742億円の純資金流入)と上位となった。

 同シリーズは純資金流入額上位ランキングの常連で、米株高も相まって純資産残高の増加ペースも加速しており、シリーズ4ファンドを合計した純資産残高は12月24日に3兆円の大台を突破した。「Dコース」の12月27日時点の純資産残高は1兆6907億円に達し、国内公募追加型株式投信(ETF除く)でトップである。

 第2位は日興アセットマネジメントの「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」となった。同ファンドは4月26日の設定。設定日残高が2860億円と2000年以降でみて過去3番目の規模となった。同ファンドは、日本を含む世界の企業の中から、既存の技術やノウハウの価値を破壊して全く新しい商品やサービスを生み出す「破壊的イノベーション」により、SDGs(持続可能な開発目標)を実現するための社会的課題解決への寄与が見込まれる企業の株式に投資する。カテゴリーは「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属しているが、2021年11月末時点のポートフォリオに占める米国の割合は83.6%と高い。

 第3位は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」。業界最低水準のコストを掲げるインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の中でも、米株高を受けて旺盛な資金が流入している。12月27日時点の純資産残高は9240億円で、国内インデックスファンド(ETF除く)で最大となっている。

 第4位は三井住友DSアセットマネジメントの「グローバルAIファンド(予想分配金提示型)」。同ファンドは、日本を含む世界の企業の中から、AI(人工知能)の進化、応用による高成長が期待される企業の株式に投資を行う。2021年11月末時点のポートフォリオの組入上位銘柄数は81で、組入比率上位は、電気自動車の米『テスラ』(組入比率6.3%)、マーケティング支援ツールなどを手掛ける米『ズームインフォ・テクノロジーズ』(同4.0%)、オンライン小売世界最大手の米『アマゾン・ドット・コム』(同3.8%)などとなっている。

 第5位にはアセットマネジメントOneのバランス型ファンド「投資のソムリエ」が食い込んだ。米国を始め先進国の株価が上昇基調にある中でも、新型コロナウイルスの変異株の出現など不安定要因を抱えていることを背景に、徹底した分散投資による「負けない運用」を掲げる同ファンドに安定運用を志向する投資家の資金が向かったと見られる。

 なお、大分類別で国内債券型が5591億円の純資金流入となり、国際株式型に続いた。カテゴリー別でも「国内債券・中長期債」が5611億円の純資金流入となり、第4位となった。けん引役はマニュライフ・インベストメント・マネジメントの「マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム・ファンド」。「年1回決算型」が1650億円の純資金流入、「3カ月決算型」が817億円の純資金流入となり、シリーズ合計で2467億円の純資金流入となった。同ファンドは、主に日本企業が発行する円建てのハイブリッド債券(劣後債)に投資する。ハイブリッド債券は、債務弁済の順位が劣るため、通常は同じ会社が発行する普通社債と比べて格付けが低い一方で利回りは高い。

 2021年11月末時点のポートフォリオの最終利回りは1.25%と日本国債の0.06%、日本投資適格社債の0.29%を上回る。同ファンドでは、投資適格以上のハイブリッド債券への投資を原則とすることもあり、国内で低金利環境が継続する中、相対的な利回りの高さから安全志向の資金が集まっている。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ