永濱利廣のエコノミックウォッチャー(21)=12月短観から見た今期業績見通し
2021年12月13~14日にかけて公表された12月短観の大企業調査は、11~12月上旬にかけて資本金10億円以上の大企業に対して行った調査であり、10~12月期法人企業景気予測調査に続いて、業績予想の先行指標として注目される。そこで本稿では、短観を用いて、1月下旬から本格化する四半期決算発表で収益計画の修正が見込まれる業種を予想してみたい。
上方修正期待のセクターは?
短観で大企業(全産業、除く金融)が計画する21年度の半期別の売上高の計画は、前回から小幅に上方修正されている。一方、経常利益の上方修正幅は上期が大幅だったものの、下期は小幅にとどまった。原材料価格の高騰や新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う海外経済の減速懸念が影響したと推察される。特に大企業製造業については、下期の経常利益計画が減益のままになっており、今年度下期は製造業を中心に減益に転じる可能性があることには注意が必要だろう。
続いて、12月短観の売上高計画を基に、大幅上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。21年度は「卸売」「電気・ガス」「鉱業・採石・砂利採取業」「食料品」を除くすべての業種で増収計画となる中で、最も大きく引き上げられているのが製造業の「鉄鋼」で修正率はプラス22.5ポイントである。それに続くのが「石油・石炭製品」のプラス15.3ポイント、さらに「物品賃貸」がプラス5.4ポイント、「化学」がプラス4.6ポイント、「非鉄金属」がプラス3.5ポイントとなっている。
「鉄鋼」「化学」「非鉄金属」については、世界的な需要の回復を受けて製品の価格転嫁が進んだもよう。また「石油・石炭製品」は原油価格上昇の恩恵を受けた。「物品賃貸」については、自動車や建設向けなど産業用機械器具賃貸業の需要が拡大していることが背景にある。これらが次の四半期決算における注目セクターだ。
利益計画は「鉄鋼」「石油石炭」「非鉄金属」に注目
また「生産用機械」では、海外経済の回復や新型コロナウイルスに伴うデジタル化加速などによる世界的な半導体不足により、半導体製造装置などの生産用機械の需要が拡大していることが推察される。さらに「非鉄金属」や「鉄鋼」は世界的な需要の回復を受けた価格転嫁、「電気機械」も世界的な需要の回復を反映したことが予想される。
経常利益計画はアフターコロナ関連の「運輸・郵便」「対個人サービス」「宿泊・飲食サービス」、世界の鋼材需要の回復を反映した「鉄鋼」や「鉱業・採石・砂利採取業」が黒字転換。特に上方修正が目立つのは「鉄鋼」や「石油・石炭製品」「非鉄金属」といった素材産業だ。また「電気機械」や「業務用機械」も大幅に上方修正されている。
このように、今期の経常利益見通しでは原材料価格の高騰に伴う価格転嫁に加え、良好な需給環境が続く製造業、特に素材や機械関連業種の上方修正が期待される。また、需給ひっ迫に伴う資源価格の高騰などを反映して、商社などを含む「卸売」の計画が大幅上方修正になっていることも注目される。
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