<新興国eye>カンボジア政府、経済回復戦略枠組プログラムを発表

新興国

2022/1/14 10:52

 21年12月22日、カンボジア政府は、「新常態の新型コロナとの共生下における経済回復戦略枠組プログラム2021-2023年」を発表しました。発表式典には、オウン・ポン・モニロット経済財政大臣を筆頭に政府関係者、国際機関代表、各国大使館関係者等が参加しました。

 この戦略枠組は、カンボジア経済の成長を潜在成長率まで回復させ、長期的には、持続可能で包括的な経済社会開発を強化することを目的としています。過去2年間、新型コロナは人々の命を危険にさらすだけでなく、カンボジア経済がサプライチェーンの崩壊や各国の各種規制強化等の外的要因にぜい弱であることも明らかにしたと分析しています。

 具体的なビジョンとしては、強じんな経済社会開発に向けた道筋の強化、高い競争力と多様化した経済基盤を有する経済の育成、新常態におけるカンボジア国民の健全な生活の振興等を実施するとしています。そのために、21-23年における各セクターの構造改革を促進するための詳細な短期的アクションプランと、各セクターの戦略を定める中長期的な戦略枠組を策定しています。

 カンボジアでは、ワクチン接種の進展に伴い市中感染は大幅に減少しています。オミクロン株の懸念は残るものの、次の段階として、経済の回復、さらには高度成長への回帰が課題になるものと見られ、今回のような総合的な戦略の策定と実施は時宜を得たものと言えます。各国からの支援も得つつ、戦略が着実に実施されていくことが期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ