米12月新築住宅販売件数、前月比11.9%増の81.1万戸―市場予想上回る

経済

2022/1/27 10:58

<チェックポイント>

●21年販売件数は前年比7.3%減

●住宅価格は前年比3.4%上昇の37万7700ドル―前月比では2カ月連続の低下

●中西部が前月比56.4%増と急増―北東部は前月急増の反動で同15.6%減

 米商務省が26日発表した21年12月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比11.9%増の年率換算81万1000戸と、11月の同11.7%増(改定前は12.4%増)に続いて2カ月連続で大幅に増加し、21年3月(87万3000戸)以来9カ月ぶりの高水準となった。市場予想の75万7000-76万5000戸に対しても上回った。

 前年比は14.0%減と、7カ月連続で前年水準を下回ったが、パンデミック前の20年1月の75万6000戸を上回っており、堅調を維持している。

 ただ、過去3カ月(9-11月)の販売件数の改定値は、9月が前回発表時の72万3000戸から72万5000戸、10月は66万2000戸から64万9000戸、11月も74万4000戸から72万5000戸と、計3万戸の大幅な下方改定となった。これらの結果を受け、21年全体の販売件数(速報ベース)は前年比7.3%減の年率換算76万2000戸となった。

 12月の販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比35.1%増の23万1000戸と5カ月ぶりに増加し、21年5月(24万5000戸)以来7カ月ぶりの高水準となった。建築中の新築住宅の販売件数も同4.0%増の39万3000戸と急増し、21年1月(41万3000戸)以来11カ月ぶりの高水準となった。完成住宅の販売件数も同6.3%増の18万7000戸と、21年9月(19万6000戸)以来3カ月ぶりの高水準となった。市場では在庫(供給)不足が続いているため、旺盛な住宅需要を反映したと見ている。

 住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比9.2%低下の37万7700ドルと2カ月連続で低下し、21年6月(37万4700ドル)以来半年ぶりの低水準となった。21年8-11月は60年近い統計史の中で初めて41万-42万ドル台を記録し、過去最高値を更新していた。前年同月比は3.4%上昇となったが、11月の同18.6%上昇から上昇幅が大きく縮小している。

 住宅価格が急低下したのは、住宅購入者が手ごろ物件の取得の度合いを強めたため。販売価格帯を見ると、30万ドル以上の高額物件の販売比率が78%と、11月の86%から急低下した一方で、20万ドルから30万ドル未満の手ごろ物件の比率は11月の45%から53%に上昇している。

 地域別の販売件数は、中西部が前月比56.4%増(前年比23.2%減)の8万6000戸と急増し、全体を押し上げた。全体の約6割を占め、販売件数が最も多い南部も同14.9%増(同17.5%減)の45万6000戸と3カ月ぶりに増加に転じたほか、全体の約2割を占め、南部に続いて販売件数が多い西部は同0.4%増(同2.1%増)の24万2000戸と2カ月連続で増加した。これらとは対照的に、北東部は同15.6%減(同34.1%減)の2万7000戸と、前月に急増した反動で減少に転じた。

 住宅供給(在庫)をみると、12月新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む。季節調整値)は前月比1.5%増(前年比34.8%増)の40万3000戸と、9カ月連続で増加した。しかし、これを12月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は6カ月相当と、11月の6.6カ月分から9.1%低下した。住宅購入需要が強いことを反映している。

 住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成戸数は在庫全体の9.7%(3万9000戸)と少なく、未着工件数も10万1000戸と、全体の25%も占め、供給不足感が依然強い。在庫全体でも住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の90%の水準にとどまっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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