HCH・富永邦昭社長に聞く:一過性の費用をこなし将来の成長へ

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2022/2/18 9:00

 ヒューマンクリエイションホールディングス(=HCH、7361・M)が順調だ。KPI(重要業績評価指標)は順調に推移し、売上高・売上総利益とも2ケタ成長している。今9月期の第1四半期(2021年10~12月)決算は減益だったが、これはM&A(企業の合併・買収)関連など一過性の費用を計上したため。同社の今期業績と今後について富永邦昭社長に聞いた。

 ――10日発表の今期第1四半期決算は連結売上高13億6400万円(前年同期比12.7%増)、営業利益8500万円(同29.4%減)でした。

 「当社は21年10月1日付でヒューマンベースを100%子会社化しており、前期と今期の2期にわたりM&A関連費用を計上しています。ストックオプション導入費用もあって、第1四半期は利益面が圧迫された形になりました。しかし、いずれも計画に織り込み済みの一過性の費用で、M&A、ストックオプションとも当社の将来の成長につながっていくものと考えています。また、一過性費用の影響を除けば、営業利益は売上高と同様に2ケタの増加になったと想定されます」

コンサルティング・受託分野を強化

 ――ヒューマンベースを子会社化した意図、効果を教えてください。

 「当社はシステム開発の最上流工程であるコンサルティングから、最終工程である保守・運用まで、一気通貫で全工程に対応できるIT企業グループです。そのうち、現在はコンサルティング・受託の強化を中心戦略に据えています。ヒューマンベースはシステムコンサルティングおよびシステム設計・開発を手掛けており、その子会社化はまさにコンサルティング・受託の強化につながります。当社既存子会社とヒューマンベースがクロスする案件も増えつつあり、既にM&Aのシナジー(相乗)効果は出てきています」

 ――ストックオプション導入にはどんな意図がありますか。

 「ストックオプション導入の目的は、従業員の確保・維持、長期的成長に対するモチベーション向上、優秀な人財の新規採用時におけるインセンティブ付与などです。今回のストックオプションはタイムカプセルストックオプションで、交付には業績面の達成条件があり、一定の成長をしていなければ付与されません。あくまで従業員に対する長期的成長へのモチベーション向上のために発行するものです」

 ――第1四半期の売上高は順調に伸びていますね。通期業績予想についてはいかがですか。

 「当社はKPIとして『契約単価』およびエンジニアの『稼働率』『保有人数』を重要視しており、このうち『契約単価』『稼働率』は計画を上回って推移しています。中でも、『契約単価』はコンサルティング・受託の強化と、それに伴う技術力向上の結果、上昇傾向が続いています。また、中途採用を中心に強化していることで、『保有人数』に関しても今後の改善余地は大きいとみています。これからもこの3つのKPIを重視した事業展開を進めるほか、第2四半期(1~3月)以降には一過性の費用がなくなることから、通期予想の売上高56億9700万円(前期比13.2%増)、営業利益5億3000万円(同10.9%増)は十分に達成できるでしょう」

 ――将来のビジョンを聞かせてください。

 「当社のコンサルティング・受託分野は、お客様ご自身が気付いていない状況でも、当社コンサルティングによって真の経営課題を抽出して明確にし、お客様が求めている以上の答えを出すことができます。こうした実績の積み重ねが、より大きな受注案件の獲得に結び付いています。コンサルティング・受託分野は既に成長が加速しており、前期の売上高構成比が11.5%で、現在は12%になっています。今後も利益率の高いシステム開発案件の獲得を進め、中期的に同事業の売上高構成比を20%にまで引き上げる方針です。それに伴い、売上高、利益も拡大していくことになるでしょう」

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