ENECHANGE・城口洋平CEOに聞く:積極的な先行投資で成長力強化

ENECHANGE(4169・M)はプラットフォーム事業、データ事業を展開し、プラットフォーム事業を中心に売上高、売上総利益の高成長が続く。現在は将来の成長を見据えて先行投資を強化し、プラットフォーム事業のユーザー数増加を図るとともに、EV(電気自動車)ステーションの拡充にも取り組む。同社の現状と将来について城口洋平CEO(最高経営責任者)に聞いた。
――前12月期決算は連結売上高30億1800万円(前々期比76.2%増)、売上総利益25億8200万円(同95.0%増)、営業利益4000万円(同23.3%減)で、売上高、売上総利益は過去最高を更新しました。
「電力・ガス切り替えプラットフォーム『エネチェンジ』などを運営するプラットフォーム事業、EMAP(エネルギーマーケティング)、SMAP(スマートメーター<次世代電力計>データ解析)などのデータ事業とも、顧客数、売上高、売上総利益が大きく伸びています。ただ、プラットフォーム事業の広告宣伝への投資や新規に『エネチェンジEV充電サービス』を開始したほか、オーベラス・ジャパンのM&A(企業の合併・買収)やファイナンスにかかわる一時費用(約3200万円)が発生したことで、前期の第4四半期(21年10~12月)は営業赤字となり、通期では減益になりました。しかし、これらの投資が今後の成長につながっていくことになります」
――プラットフォーム事業が現在の主力事業ですね。
「当社は日本最大の家庭向け電力・ガス切り替えプラットフォーム『エネチェンジ』、法人向けの『エネチェンジBiz』を運営しており、新電力の認知度向上とともに、電気料金の上昇もあって利用は拡大しています。積極的な広告宣伝を始めた効果から、新電力の利用者における当社シェアは家庭向け1.7%、法人向け1.9%と、そろって過去最高を記録しました。今期も費用対効果を考慮しながらデジタルマーケティングを中心に積極的な成長投資を実施し、利用者数増加、シェア拡大の加速を図ります」
EV充電サービスで圧倒的シェアへ
――データ事業はいかがですか。
「データ事業ではEMAP、SMAP、KIWI(法人向けデマンドレスポンス)、EV充電サービスの4サービスを主に展開しており、それぞれ順調に伸びています。中でも、土地、建物など自動車の駐車スペースを持つオーナーに対し、初期費用無料、月額利用料のみでEV普通充電器を設置するEV充電サービスに注力しています。オーナーは駐車スペースに付加価値をつけたEV充電ビジネスを手軽にスタートすることができる上、EVユーザーの集客も可能になります」
「一方、日本政府は新車販売における電動車比率を2035年までに100%にする目標を掲げています。トヨタ自動車(7203)のEV展開積極化、ソニーグループ(6758)のEV分野参入もあり、22年は日本の『EV元年』と言われます。実際、1月にEV、PHV(プラグインハイブリッドカー)の電動車比率は初めて3%台に乗せ、今年中には5%を超える可能性もあるでしょう。EVの普及とともに、充電サービスの必要性が高まることは間違いなく、当社はEV充電サービスで圧倒的なシェア確立を目指します。既にレストランチェーン、ゴルフ場、ホテルなどから引き合いがあり、早期に3000カ所程度の設置を見込んでいます」
――今期以降の見通しを教えてください。
「21年12月に公募増資で約39億円を調達しました。これにより、今期を『先行投資フェーズ』と位置付け、調達資金をEV充電サービスやプラットフォーム事業などの成長投資に活用します。そのため、売上高は30%以上の成長を継続しながらも赤字予想ですが、成長を加速させ、シェアを大きく伸ばすためには、今期に集中して投資する必要があると判断しました。一方、脱炭素社会の実現に向け、世界ではEV充電が脚光を浴びています。21年には欧米の脱炭素テック企業の上場が増えましたが、その多くがEV充電事業を手掛けており、各企業は時価総額数千億円規模で評価されています。これはEVの普及拡大に加え、EV充電ステーションに搭載される蓄電池を使ったデマンドレスポンスへの活用が期待されているからで、当社が創業以来取り組んできた分野でもあります。当社は脱炭素テック企業として、EV充電サービスに注力し、日本のEV充電ステーション普及に貢献するとともに、将来的にはデマンドレスポンス機能としての利用にも力を入れていきます」
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