海外株式見通し=米国、香港

【米国株】ウクライナ情勢で注目の金価格、EV関連は強気一服

 ウクライナ情勢の緊迫化とFRB(米連邦準備制度理事会)当局者発言による利上げペース見通し変化の間で揺れている米株式市場とは対照的に、金価格動向の見通しは明るさを増しているように見受けられる。CMX金先物価格は、2020年3月の1オンス=1450ドル、同年8月の2074ドルからの大きな三角もちあいの形成後に1800ドル近辺を均衡水準として収束、もちあいを上方にブレークする兆しが示されている。

 特に金価格と米長期金利の動向の関係は、07年半ば以降に総じて逆相関で推移する傾向がみられたが、最近はおおむね連動して上昇しつつある。FRBが景気に配慮する余り積極的な利上げ・引き締めを躊躇(ちゅうちょ)すれば、米長期金利と金価格が連動して上昇する可能性もあり、ニューモント<NEM>のような金鉱株のほか金価格連動ETF(上場投資信託)も注目される。

 株式市場では、中国でのEV(電気自動車)の販売が堅調だった企業に対する強気度をやや下げざるを得ない面が出て来ている。中国財政省が22年のNEV(=新エネルギー車。電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池車)補助金を21年比で30%縮小。さらに補助金政策自体を22年限りで終了することが1月に発表された。2月18発表の中国の1月の自動車販売では、NEV販売台数が前年同月比約2.4倍だったものの、前月比で約19%減少と補助金縮小の影響が見られた。

 その一方、アマゾン・ドット・コム<AMZN>のAWSやマイクロソフト<MSFT>のアジュールのようなクラウド・コンピューティング事業が高い成長率で拡大を続ける中で、異なるベンダーから提供される複数のクラウド環境を併用する「マルチクラウド」、および種類が異なる複数のクラウド環境などを相互接続して統合運用する「ハイブリッドクラウド」の成長性への期待が高まると予想される。マルチクラウドでは複数の異なるクラウド環境を大規模並列処理できる企業、ハイブリッドクラウドではネットワーク接続先を指定するルーターを取り扱う企業が期待される。

【香港株】信用不安後の底入れ、金融緩和を受けた香港不動産株動向

 中国人民銀行は2月21日、実質的な政策金利で新規貸出金利の指標となるローンプイライムレート(LPR)について1年物を3.70%、5年物を4.60%と市場予想通り据え置いた。2カ月連続の引き下げの後でもあり、据え置きでも緩和基調に変化はないとみられている。中国の新規および既存融資の大半は1年物LPRに基づき、5年物LPRは住宅ローンの金利設定に影響する。

 10日発表の中国マネーサプライM2の前年同月比伸び率は9.8%と前月の9.0%から伸びが加速。中国にとどまらず世界経済の先行指標として注目度が高い「クレジット・インパルス」(中国の名目GDP<国内総生産>に対する新規貸出の伸び)も昨年10月を底にして3カ月連続で上昇中だ。

 中国不動産開発企業の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)のドル建て社債に係るデフォルト(債務不履行)懸念が市場の関心を集めたのが昨年9月23日の利払い期日だったが、中国政府はその後速やかにマネーサプライの供給を増やして対応。それが功を奏してクレジット・インパルスが改善し、現在のところ信用不安回避に一応の成功を示している。

 中国恒大集団の株価は低迷を続けているが、恒基兆業地産(ヘンダーソン・ランド・デベロプメント)をはじめとする香港大手不動産開発企業の株価は昨年9月下旬以降、底入れから上昇をうかがう展開で推移している。香港ハンセン指数、およびサブ指数の推移を見てもハンセン金融指数とともにハンセン不動産株指数が堅調に推移しており、香港不動産株は注目されよう。

※右の画像クリックでグラフ拡大

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

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