海外株式見通し=米国、香港
【米国株】インフレで浮上する銘柄は?

エネルギー不足が需要の減退を引き起こし、インフレと景気停滞が併存するスタグフレーションのリスクが懸念されている。米債券市場の5年国債(3月4日終値)においても、市場が期待する年平均インフレ率であるブレークイーブンインフレ率が3.26%まで上昇した一方、5年国債利回りが約1.65%と実質金利のマイナス幅は161ポイント超と、異例の高水準に達した。
実質金利のマイナス幅拡大は資金調達でメリットがある半面、主要先進国のマネーサプライ(M2)を合計した「グローバル・マネーサプライ指数」は2月23日をピークに微減傾向にある。ロシア国債のデフォルト(債務不履行)懸念など金融システムが不安定さを増しており、次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げペースのスローダウンや資金繰り支援のための流動性供給などに言及があっても不思議ではないだろう。
一方で、アマゾン・ウエブ・サービス(AWS)やマイクロソフト・アジュールなどのクラウド・インフラ事業が高成長を継続するのに伴い、複数のクラウドサービスを組み合わせた環境を実現する「マルチクラウド」の需要が高まっている。
クラウド関連データウエアハウス企業のスノーフレーク<SNOW>は、2日発表の2021年11月~22年1月決算でも売上高が前年同期比約2.0倍に達した。2~4月の会社業績予想で売上高を同79~81%増の見通しとしたことに対して、成長鈍化の兆しとして株価は下落した。しかし、既存顧客がサービスに支払う金額の増減率を示す「純売上継続率」は、20年9月の上場以降一貫して四半期ベースで上昇を続けている。
企業のコスト増に対して生産性向上で貢献できるクラウド・ソフトウエア関連企業は、インフレ時代にこそ本領を発揮できるだろう。また、消費者の生活防衛意識の高まりからディスカウント・ストアへの客足が伸びる可能性がある。中でも、1ドル路線から1.25ドル価格帯へ移行した「日本版100均」のダラー・ツリー<DLTR>が注目される。
【香港株】全人代で強調の「三人っ子」政策と恒安国際集団
3月5日に中国の第13期全国人民代表大会(=全人代、国会に相当)が開催された。その第5回会議上で李克強首相が行った「政府活動報告」によれば、同国は「三人っ子」関連政策を充実させ、3歳未満の乳幼児の保育費用を個人所得税特別付加控除に組み入れ、子どものいる世帯の養育負担を軽減する。
中国の21年の出生数は1062万人と5年連続で減少。一方で死亡者数が1014万人に上り、近い将来の総人口の減少が視野に入ってきた。中国政府は昨年、3人目を容認したものの出生数の減少に歯止めが掛かっていない。
また、全人口に占める65歳以上の比率は21年末に14.2%と国際基準で同14%超とされる「高齢社会」に入った。同7%超の「高齢化社会」になってからの期間が21年と、日本(同期間が25年)を上回る速度で高齢化が進展している。
香港市場上場銘柄の中でも、中国でベビー用の紙おむつのほか生理用ナプキンやスキンケアなど家庭向け衛生用品の生産と販売を営む恒安国際集団(ハンアン・インターナショナル)は高配当利回り銘柄として知られる。21年の1株当たり年間予想配当は2.00元だ。3月8日終値での予想年配当利回りは6.28%に上る。
ベビー用紙おむつの「安児楽」は中国では大手スーパーでよく目にする有名ブランドだ。また、ハイペースで高齢化が進むことから、成人用紙おむつ「安而康」も売上の伸びが期待される。高吸水性樹脂など石油化学原料のコスト増や市場での競争激化を背景に、直近は粗利率が低下傾向にあるものの、配当性向の引上げで還元魅力は維持されている。
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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
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