ハークスレイ・青木会長に聞く:「利回り高い飲食店舗不動産ファンド活用、引き合いも強い」

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2022/3/23 8:50

 持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」店舗の全国チェーンや、飲食店の店舗運営支援など、グループ9社を傘下に擁するハークスレイ(7561)は、コロナ後の経済活動回復へ向けてグループの総合力を発揮する。新事業の飲食に特化した不動産ファンドも軌道に乗り、再評価機運が高まる局面。原材料高への対策も含めて、青木達也会長に今後の戦略を聞いた。

 ――店舗数919(2022年1月末時点)のほっかほっか亭の知名度は高い半面、グループ全体の取り組みが十分に市場で理解されていないように映ります。改めて事業内容を教えてください。

 「持ち帰り弁当事業と、さまざまな業態の飲食店の開業や運営を総合的にサポートする店舗委託事業・店舗管理事業が収益の柱です。ほかにも物流食品加工や仕出し料理、イベントやパーティー向けに食器や備品をレンタルする事業を手掛ける各子会社を傘下に擁しています。また、21年3月にはケーキ店などにPOSシステムを提供する企業がグループに加わりました。それぞれの事業の自立化を促進し、多様性、環境適応性および成長性を兼ね備えた自己変革型企業群の完成を目指しています」

 「21年11月に、飲食に特化した店舗不動産私募ファンドを設立しました。これは、飲食店などが入居する駅前立地の商業ビルを中心に集めたものです。店舗委託事業で培ったテナントリーシング(テナントの誘致・契約の支援)を強みに、取得した物件はいずれも高い入居率を実現しています」

 ――新型コロナウイルス感染拡大による店舗委託事業への影響はどうですか。また、不動産ビジネスの展望は?

 「同事業で支援しているのは個人事業主が中心です。個人事業主は比較的コロナ禍でも政府からの支援によって経営悪化を免れるケースが多い。もちろん撤退の動きもありますが、コロナ収束を見据えた新規出店の意欲も強く、委託店舗数は前3月期末と比べて減っていません(22年1月末で775店)。新型コロナ第6波もピークアウトしつつあり、大手飲食店からの独立開業希望者の増加も見込まれますので、今春ごろからは年換算で50店舗前後の純増ペースが期待されます」

 「飲食店のIT化も一段と加速する方向です。この分野では、われわれのグループに新たに加わったアニー(東京都調布市)が、洋菓子店専用の顧客管理POSレジシステムを手掛けています」

 「相対的に利回りが良い飲食店舗不動産ファンドは国内金融機関、事業法人などからの引き合いが極めて強く、現在準備を進めている案件の申し込みも順調です。今年中に飲食店舗ファンドの組成体制を確立していきます。ファンドの活用により、物件を所有することなく管理店舗を増やしていける相乗効果も見込まれます」

 ――原材料高も気になります。

 「持ち帰り弁当のほっかほっか亭に関しても、原材料高の対策を講じる必要に迫られています。人員配置の効率化など、コスト削減を全社で強化していますが、人件費高騰による影響は大きい。また、牛肉などの価格は吸収できない水準まで上昇してきました。環境性に優れたバイオプラスチック容器への置き換えにより発生する費用への対応も含め、値上げを検討しなければならない局面に差し掛かっています。単に値上げするのではなく、キャッシュレス決済、モバイルオーダー、デリバリーサービスなど利便性の拡充を行い、納得してもらえるだけの付加価値の提供を検討していきます」

 ――IR(投資家向け広報)や株主還元の考え方は?

 「これまではハークスレイを理解していただくためのIR面でのアピールが足りない部分もあったと考えています。株主・投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に当社をよりよく理解し、適正に評価してもらえるよう、分かりやすく伝える施策を検討します」

 「株主還元を経営上の重要な課題の一つと認識し、利益配分については、将来の事業投資と連結業績、事業見通し、配当性向(20%)を総合的に考慮して、安定した配当を目指します。今期は株主優待制度を一部拡充したほか21年10月を効力発生日として1対2の株式分割を実施しました」

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