HCSHD:加藤俊彦社長に聞く――デジタルマーケティング事業が成長けん引

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2022/3/28 9:00

 HCSホールディングス(4200・JQ)は創業以来、情報サービス事業を中心として、ERP(統合基幹業務システム)事業などにも注力し、これまで成長してきた。2016年には将来の成長の原動力としてデジタルマーケティング事業に参入、21年には東証ジャスダックスタンダードに上場し、新しい成長局面を迎えている。同社の現状と今後について加藤俊彦社長に聞いた。

 ――今3月期の第3四半期累計決算は連結売上高35億4000万円(前年同期比1.2%増)、営業利益3億800万円(同8.0%増)と順調でした。

 「新型コロナウイルスの影響もあってDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、関連領域の拡大に取り組んでいます。その中で、クラウド関連案件、ローコード開発案件、DXを推進する企業の事業部門向け案件、デジタルマーケティング支援案件などの受注獲得に努め、情報サービス事業の既存業務領域や、ERP事業は安定的に推移しています。また、今期はデジタルマーケティング事業が予想以上に好調に推移し大きく伸びており、それが成長をけん引する状況になっています」

 ――御社のデジタルマーケティング事業について教えてください。

 「将来の成長のため、16年に事業を開始しました。当社のデータサイエンティストがGoogleマーケティングプラットフォームを活用し、インターネット広告の施策立案・運用、マーケティングデータ管理プラットフォーム構築などデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。DX進展の波に乗って今後も好事業環境が続くとみられ、データサイエンティストの育成を図りながら、事業拡大を目指しています。データサイエンティスト育成の流れから、今年1月にはビッグデータ、AI(人工知能)などデータサイエンスにかかわる教育や研修サービスを提供するデータミックスが実施した第三者割当によるA種優先株式を引き受けました」

 「一方、21年6月24日の当社上場に続いて、同年12月21日にはデジタルマーケティング事業などを手掛ける持分法適用関連会社のラバブルマーケティンググループ(=ラバブルM、9254・M)が東証マザーズに上場しました。今後、より一層のシナジー(相乗)効果追求を図ります。また、上場に伴い同社が実施した第三者割当増資により、当社は持分変動利益5200万円を計上しました」

 ――主力の情報サービス事業について教えてください。

 「情報サービス事業では、システムインテグレーションサービスとして主に電力、航空、鉄鋼業界向けに、常駐型を中心に業務ソフトウエアの設計・開発・保守・運用サービスを提供しています。また、Salesforce導入支援、合理化・効率化を実現するローコード開発ソリューションの提供や、マスターファイルソリューションサービスなども展開しています。大手企業などと継続的な協力関係を維持していることが特徴で、それが安定的な収益の背景にあります」

 「かつて企業のシステムは大手SIerが丸ごと開発することが主流でしたが、現在では設計書ありきではなく、部分ごとにセキュリティーを考慮しながら開発していくケースがほとんどです。当社は海外の新しいツールの提案も行うなど、大手ができないことを着実に実施しており、それが受注増につながっています」

 ――ERP事業はいかがですか。

 「ERP事業では、独SAP社の日本法人であるSAPジャパンのパートナーとして、大手コンサルティングファームや大手SIerからのSAP導入・保守案件を中心に、ERPソフトウエア導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守・運用サービスの提供を行っています。また、リソースプランニングサポートサービス(RPSサービス)として、SAPシステム、運用管理ツールの保守・運用、ヘルプデスク業務について、当社グループのサポートセンターから支援サービスを提供しています。当社グループのERP事業は一つ一つの案件はそれほど大きくないものの、利益率は高い傾向にあります。SAPの既存システムのメーンストリームサポートが終了する27年末に向け、今後さらに需要が拡大していくと期待しています」

積極的に新技術を習得し来期以降も成長継続へ

 ――将来のビジョンを教えてください。

 「IT業界は日々技術が進歩しており、新しい技術の獲得が急務です。そのため、当社エンジニア100人が3カ月にわたる研修を受け、新しいスキルを習得してもらうようにしました。エンジニアが最新の技術を身に付け、着実に受注案件をこなすことで、来期以降の収益につなげていきます。また、日本にとどまらず、海外の先端ツールを開拓し、国内での販売も進めます。一方、当社は21年6月にジャスダックに上場し、それをきっかけに提携、M&A(企業の合併・買収)の話が増えました。いい話があれば、積極的に提携、M&Aも実施したいと思っています」

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