海外株式見通し=米国、香港

【米国株】「配当貴族指数」に注目、防衛関連も

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 FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの加速が景気腰折れにつながるのではないかという懸念が強まる中、米国株市場はディフェンシブ銘柄が物色されやすい傾向が強まっている。そうした環境下では「S&P500配当貴族指数」の構成銘柄が注目される。

 同指数はS&P500構成銘柄のうち25年以上連続して増配している株式を対象とした均等加重型の株価指数で、時価総額30億ドル以上の優良大型株のパフォーマンスを測る目的で設計された。14日現在の構成銘柄数は64銘柄を数える。

 連続増配年数最長の59年に上る8社の中には、3M、コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、プロクター・アンド・ギャンブルといった日本人にもよく知られた企業のほか、エマソン・エレクトリックやドーバーなど、成長株投資の観点では「コングロマリット・ディスカウント」として嫌われやすい「複合企業」(コングロマリット)も含まれている。

 複合企業は、事業部門ごとに継続的な買収と売却を通じて管理するビジネスを入れ替え、マクロ環境に左右されにくい持続的な安定成長の実現を図っている。

 一方、ウクライナ情勢が再び緊迫の度を増してきた。14日にロシア海軍の旗艦巡洋艦「モスクワ」が沈没。ウクライナ側から地対艦ミサイルが命中したと伝えられた。ドローン(小型無人飛行機)を利用してレーダー警戒システムの注意をそらしたすきを狙ったものと報じられている。

 対するロシア軍もウクライナ東部の要衝マリウポリの完全制圧に向けて激しい攻撃を続けている。ウクライナでの戦闘は今年末まで続く可能性があるとの米国の判断をブリンケン米国務長官が欧州の同盟国に伝えたほか、米国防総省は直近、米防衛機器製造大手8社の首脳を招いて、ロシアの侵攻が数年に及んだ場合に備えて武器供給能力について協議したという。

 停戦協議がまとまることへの期待値が高くないとした場合、フィンランドとスウェーデンのNATO(北大西洋条約機構)加盟への機運が高まっていることも含め、防衛関連企業の株価への追い風となるだろう。

※右の画像クリックでグラフ拡大

【香港株】高級品へのシフトで業績好調な中国ビール大手

 3月29日に中国ビール最大手の華潤ビール[チャイナリソーシズビール]と2位の青島ビールが前2021年12月通期の決算を発表。華潤ビールは、売上高が前々期比6.2%増の333.87億元、粗利益率が同0.8ポイント上昇の39.2%、純利益が同2.2倍の45.87億元。青島ビールは、売上高が前々期比8.7%増の301.66億元、粗利益率が同1.4ポイント上昇の36.7%、純利益が同43.3%増の31.55億元。両社ともに経済成長に伴い所得向上で中間層の間で人気が高まっている高級品シフトが功を奏し、利益率の改善を伴って足元の業績は堅調に拡大している。

 中国のビールの歴史をたどると、山東省青島がドイツの租借地だったこともあり青島ビールが1903年に創業。質の高いドイツ四季醸造技術が採用され、長らくは青島ビールが中国で首位を占めていた。これに対し、創業が94年と後発の「華潤雪花ビール」が猛烈なM&A(企業の合併・買収)で急成長し、2006年にシェア首位を奪取した。同社の「雪花Snow」ブランドは手ごろな低価格であることで知られる。中国ビールと言えば、これらの2強とともに北京地盤の「燕京ビール」が有名だが、市場シェアで3強の一角を占めているのが「バドワイザー」が有名なベルギーの世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブである。19年9月に同社のアジア太平洋地域子会社が香港市場に上場し、約5400億円相当額の大型の資金調達を実現した。

 世界最大を誇る中国のビール市場も、消費者嗜好(しこう)の多様化により13年をピークに減少傾向にある。そのような「ビール離れ」に対し、華潤ビールは高級品へのシフトのほか、伝統蒸留酒「白酒」のメーカーと資本・業務提携を活発化している。また、各社ともに健康志向が強い若年層をターゲットにノンアルコール分野の強化に取り組む。中国ビールメーカーの今後については多角化路線の成否がカギを握ろう。

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

(写真:123RF)

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