コーア商事Hは業績好調、株価に評価余地

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2022/4/22 8:50

 ジェネリック(後発)薬の原薬販売を主力とするコーア商事ホールディングス(=コーア商事H、9273)は、今6月期上期(昨年7~12月)の営業利益が通期計画比で高進ちょくを示した。収益の上積み期待が強まる中で、今後は新製品の投入や、透析用シリンジの増産が注目される。

上期大幅増益、新製品投入へ

 同社の今期上期の連結営業利益は21.7億円(前年同期比36%増)。腫瘍(しゅよう)用薬や中枢神経系用薬向け原薬の販売が伸びているほか、医薬品の受託製造も好調だ。通期の業績予想(営業利益34.3億円、前期比2%増)の6割強を達成し、増額余力をうかがわせる。

 3期連続の増収増益を見込む同社の強みは、付加価値を備えたジェネリック薬にある。慢性腎臓病向けの「炭酸ランタンOD錠」は、水なしで服用できる。水分摂取が制限される透析患者に有用で、今後も市場シェアを伸ばす余地があるとしている。高品質とその保証体制にも定評があり、後発薬業界で信頼性をめぐる問題が相次ぐ中で同社の優位性は一段と高まったとみられる。

 今期下期から来期へ向けての注目材料の1つが、今年2月に製造販売承認を取得した抗悪性腫瘍剤薬「ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液」だ。同製品は、液剤のため医療従事者の調整時の取り扱いが軽減される上、価格も先発薬の半額。今期第4四半期(4~6月)にも収益貢献が始まる可能性がある。

透析用シリンジを増産

 また、透析患者向けに使われ、血中の副甲状腺ホルモン濃度を下げる「マキサカルシトール静注透析用シリンジ」は市場の旺盛なニーズに対応して増産に着手している。コーアイセイ蔵王工場(山形市蔵王)の製造ラインを3交代制にするなどして、生産能力を段階的に引き上げる構えだ。

 この領域の競合品は先発・後発含めてすべてがアンプル(密封容器)製剤だが、同社の製品はシリンジ(注射筒)タイプのため透析患者の感染症予防などで利点がある。マキサカルシトールの市場は約8割がアンプルだが、コーア商事Hの製品は医療機関からの引き合いが急増している。「今後シェアを獲得していく可能性が非常に高い」(同社の首藤利幸社長)。

 コーア商事Hの株価は堅調な業績を背景に水準の切り上げが続く。高齢化や国の後発薬促進を背景に今後も事業環境は明るく、マーケットでの評価余地を残している。

(写真:123RF)

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