FOMC、0.50ポイント追加利上げ―FF金利0.75-1.00%に

経済

FOMC

2022/5/6 8:52

<チェックポイント>

●6月1日から量的金融引き締めを開始

●「ウクライナ情勢と中国の感染拡大でインフレ加速」と懸念示す

●0.75ポイントの追加利上げは検討していない―パウエルFRB議長、市場の憶測を否定

 FRB(米連邦準備制度理事会)は3日のFOMC(米連邦公開市場委員会、以下「会合」)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.50ポイント引き上げ、0.75-1.00%とすることを全員一致で決めた。利上げは前回3月会合に続いて2会合連続で、政策金利水準は2000年以来22年ぶりの高水準となる。また、量的金融緩和(QE)により、現在、約8兆9000億ドルと、1年前の2倍超に達しているFRBのバランスシートの量的金融引き締め(QT)開始については、「6月1日から国債とMBS(住宅ローン担保証券)の保有残高の削減を開始する」と発表した。利上げ幅、QT開始はいずれも市場予想通りだった。

 市中銀行がFRBに預け入れることを義務付けている準備預金の預入額に付与する金利についても0.50ポイント引き上げ、0.90%とすることを決めた。5日から実施された。

 FRBは会合後に発表した声明文で、市場が注目していた、今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、前回会合時と同様、「われわれが適切に金融政策を引き締めることにより、インフレが2%上昇の物価目標に戻り、雇用市場は引き続き堅調となることが予想される」とした上で、「FF金利の誘導目標の継続的な引き上げが適切であると判断した」と利上げサイクルに入ったことを改めて強調した。

 市場の一部で、6月に0.75ポイントの大幅利上げ観測が出ていることについて、パウエルFRB議長は、「0.75ポイントの利上げを積極的に検討していない」とし、否定的な見方を示した。

 景気の見通しについては、「景気後退に近づいていないため、ソフトランディング(緩やかな調整)への道はある」と過度な利上げを避ける考えを強調。その上で、「次回6月会合で、0.50ポイントの利上げは議論のテーマになる」とした。

 最近のインフレの加速について、FRBは声明文で、前回会合時と同様、「パンデミック(コロナ禍)と経済の再開に関連した需給の不均衡がインフレ率の上昇に寄与し続けている」との認識を示した。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の開始(2月24日)と、それに伴う西側諸国の対ロ経済制裁によるインフレへの影響については、「ロシアによるウクライナへの侵略は、人的にも経済的にも多大な困難を引き起こしている。米国経済への影響は非常に不確実だが、短期的には、侵略と関連する経済制裁がインフレにさらなる上向きの圧力を生み出し、経済活動を圧迫する可能性がある」と前回同様にインフレ進行と景気後退の双方への懸念を示した。また、今回の会合では、「中国での新型コロナ感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)がサプライチェーンの混乱を悪化させる可能性がある」、「インフレリスクに非常に注意を払っている」とし、中国の感染拡大リスクが新たなインフレ圧力要因として加わったことを指摘している。

 次回会合は6月14-15日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545>、NYダウ投信<1546>、上場米国<1547>、

 SPD500<1557>、NYダウ<1679>、NYダウブル<2040>、

 NYダウベア<2041>

(イメージ写真提供:123RF)

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