テンダ・経営陣にインタビュー:「テンダラボ」が成長けん引
2022/5/18 9:00
テンダ(4198)はITソリューション事業、ビジネスプロダクト事業、ゲームコンテンツ事業を展開する。今5月期はITソリューション事業が好調で、「テンダラボ」を中心に収益が拡大している。一方、新製品の開発、プロモーションの戦略的な先行投資が影響したため、ビジネスプロダクト事業は苦戦するが、先行投資の効果など、今後の成長要因として将来的な期待は大きい。同社の現状と今後について小林謙会長(写真)と薗部晃取締役に聞いた。
――御社の強みを教えてください。
小林会長「当社は1995年にIT人材派遣・請負から事業をスタートし、IT関連の開発実績、ノウハウを蓄積しながら、顧客からの受託請負も手掛けるようになりました。95年はWindows95が発売された年であり、パソコンが企業に導入されたころで、パソコンを活用することが顧客の生産性向上、競争力強化につながると考えました。こうした中で、当社は顧客と対話し、相手をよく知ることでニーズを探り、技術力によって顧客のワークスタイル変革を支援していくことに取り組みました。それが当社最大の強みでしょう。そのため、技術者の採用、育成に注力するとともに、外部パートナーとの関係も強化し、現場力の向上を図っています」
――今期の第3四半期累計決算は連結売上高が23億9800万円(前年同期比10.3%増)と大きく伸びた半面、営業利益は2億4600万円(同2.2%減)と微減でした。
薗部取締役「主力のITソリューション事業が好調です。2020年にサービス提供を開始した『国内ラボ型開発テンダラボ』の今期第3四半期累計売上高が3億9100万円(前年同期比4.6倍)と急拡大し、全体の売上増をけん引しました。これは必要な人材を必要な期間だけ契約するラボ型開発サービスで、開発人員のみを押さえ、月額費用を定額化できることから『ITプロのサブスクリプション、シェアリングサービス』ともいえます。従来の一括請負モデルとは異なり、プロジェクトの状況に対応して柔軟に、迅速に作業依頼ができることで、受注が増加しています。1案件の大型化も売上増につながっています」
「一方、ビジネスプロダクト事業は主力製品のマニュアル自動作成ソフト『Dojo』が堅調です。それに続く新製品開発も進めており、21年11月にはスマートフォンで簡単にマニュアルを作成・共有できるクラウドサービス『Dojoウェブマニュアル』をリリースしました。新製品に関する研究開発費、広告宣伝費などの戦略的投資を行ったことから、同事業は増収ながら減益になりました。しかし、第4四半期(3~5月)の受注に投資の効果が現れてきており、来期以降の大きな成果につながっていくと考えています。なお、ゲームコンテンツ事業については、来期以降を見据え、クオリティー向上を重視した開発体制の整備、優秀な人材確保などに注力しています」
「こうしたことから、通期予想の売上高34億3100万円(前期比14.9%増)、営業利益3億2000万円(同6.4%減)は達成できる見込みです。それとともに、来期以降の成長にも臨みます」
新製品『Dojoウェブマニュアル』本格拡販へ
――新製品の『Dojoウェブマニュアル』について教えてください。
薗部取締役「『Dojoウェブマニュアル』を使えば、パソコンのない現場でも、現場での作業マニュアルや機械操作の手順書作りなどのマニュアルがスマートフォンだけで作成できます。また、リモートワークやワークスタイルが変革する中で、パソコン、スマートフォンを使って、業務指示や報告、チームの誰かが気付いたことの共有が簡単にできるようになります。今後は『Dojo』シリーズとの連携を進めるとともに、より一層の機能拡充にも取り組みます。戦略的投資の効果もあって、『Dojoウェブマニュアル』を含む『Dojo』シリーズはこれからの売上増が期待できる受注状況にあります」
――今後の成長戦略はいかがですか。
小林会長「引き続きITソリューション事業を中心とした成長を目指します。そのため、パートナー拡充などITプロのサブスクリプション・シェアリングサービスである『テンダラボ』の強化を図り、安定的な成長基盤を構築するとともに、付加価値の高いサービスの開発にも取り組みます。当社の顧客はリピート率が高いことから、長期的な付き合いを前提に受注を積み重ねていく方針です」
「また、今後の成長を視野に入れ、22年6月に本社を現在の東池袋から西池袋、渋谷に分散移転します。デジタルテクノロジー、ICTをフル活用するリモートワークを中心としたフレキシブルで、多様な働き方による生産性を追求し、オフィスを単なる働く場所から、コミュニケーション活性・イノベーション推進の機会を創出する場に変革します。また、当社は池袋で創業し、これまで育ってきましたが、新たに渋谷のスクランブルスクエアに本社機能を移します。渋谷にはIT企業が集まっており、大きな刺激になり、さらなる成長につながっていくのではないかと思います」
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