米4月中古住宅販売件数、前月比2.4%減の年率561万戸―市場予想下回る

経済

2022/5/20 11:01

<チェックポイント>

●住宅ローン金利上昇と価格高騰、供給不足が販売抑制

●住宅価格は前年比14.8%上昇で過去最高値を更新

●住宅供給(在庫)は前月比10.8%増も前年を大きく割り込み依然低水準

 NAR(全米不動産業協会)が19日発表した4月中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比2.4%減の年率換算561万戸と、3月の同3.0%減(改定前2.7%減)に続いて3カ月連続で減少し、市場予想の565万戸を下回った。前年比も5.9%減となり、9カ月連続で前年水準を下回った。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅ローン金利の大幅上昇とインフレ上昇により、住宅購入が減少した」と指摘している。

 住宅供給の過不足感を示す4月時点の未販売住宅(在庫)は、前月比10.8%増(前年比10.4%減)の103万戸と、3月の9.4%増に続いて2カ月連続で増加した。また、4月の販売ペースで換算した在庫水準は2.2カ月分と、3月の1.9カ月分を上回り、3カ月連続で上昇したが、1年前の2.3カ月分を下回り、依然、低水準だ。

 地域別販売件数は、全体の4割以上を占め、最もウエートが大きい南部が前月比4.6%減(前年比5.7%減)の249万戸と、3カ月連続で減少。南部に次いで大市場の西部も同5.8%減(同8.1%減)の114万戸となった。一方、北東部は同1.5%増(同10.7%減)の67万戸、中西部も同3.1%増(同1.5%減)の131万戸となっている。

 住宅販売件数の減少の最大の理由は、住宅ローン金利の急上昇と住宅価格の上昇が続いていることだ。4月の住宅価格(中央値)は前月比4.4%上昇の39万1200ドルと、3カ月連続で上昇。2カ月連続で過去最高値を更新した。前年比は14.8%上昇となり、122カ月連続で前年水準を上回っている。主力の一戸建ても同様で、4月は前年水準より14.8%高い39万7600ドル(前月比4.3%上昇)となった。在庫不足を反映し、不動産仲介業者が中古住宅の買取り価格を競り上げていることが住宅価格高騰の要因にもなっている。

 住宅価格が低下しないもう一つの要因として、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が細っていることがある。4月のディストレスト物件の販売比率は1%弱と、3月と変わらなかったが、1年前の2%を下回っている。

 一方、手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、4月の新規住宅取得者の比率は28%と、3月の30%や1年前の31%、過去平均の40%を下回り、低水準となっている。

 市場では、すでに13年ぶりの高水準にある住宅ローン金利がFRB(連邦準備制度理事会)の6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げによりさらに上昇する見通しや、在庫不足による住宅価格の高騰を背景にした住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)の低下により、住宅販売が鈍化するとみている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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