海外株式見通し=米国、香港

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2022/6/2 9:30

【米国株】戻りのメドとしてVIX指数に注視

 ハイテクやITに係るグロース銘柄では、テレワーク普及の特需を追い風に2020年に過去最高値を付けたSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業を中心に、株価底入れの兆しがみられる。ビデオ会議のズーム・ビデオ・コミュニケーションズやログ解析プラットフォームのスプランクなどは、ナスダック総合指数が過去最高値を付けた昨年11月よりも1年以上早く過去最高値から下落を開始。株価の調整が時間的経過の「日柄」を伴う場合、業績見通し改善により持続性のある株価の反転上昇が期待される。SaaS企業が提供するサービスは企業の生産性向上を支援することから、賃金上昇圧力が強い時期に需要が高まりやすい面もあるだろう。

 5月中旬以降に発表された4月の物価関連統計においても、インフレ減速の兆候が示されたことから、FRB(米連邦準備制度理事会)による政策金利引上げペースの9月以降の減速の可能性が市場で取り上げられ始めた。このような動きを受けて反転上昇に転じた米国株の戻りのメドとしては、株式市場に対する投資家の心理状態を表す「VIX指数(恐怖指数)」が20ポイント割れとなる点が挙げられる。今年1月4日、2月9日、3月28日、4月20日にNYダウが戻り上昇一服となった時、VIX指数は共通して20ポイントを下回っていた。

 FRBは6月から保有バランスシートの縮小を開始する。大型ハイテク株は、FRBによるバランスシート拡大に伴う過剰流動性の受け皿となっていた反動が懸念されよう。さらに、5月24日発表の4月の米新築住宅販売件数が前月比で大幅減となるなど、需要面での景気減速がインフレ減速見通しにつながっている。ロシアへの経済制裁が強化かつ長期化されることで、供給面からのインフレ圧力が高まるリスクには要注意だろう。EU(欧州連合)首脳特別会合で31日にロシア産原油の輸入停止(年内9割)で合意したことの意味合いも、無視できないだろう。

※右の画像クリックでグラフ拡大

【香港株】米国勢と比べて割安水準の中国勢リチウム生産開発2社

 電気自動車(EV)のバッテリーとして利用されるリチウムイオン2次電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う。リチウムを採掘し、正極に使用されるリチウム化合物(水酸化リチウムや炭酸リチウムなど)に加工する特殊化学品業界の市場動向では、米国勢のアルベマールとライベントの2社、中国勢では江西省に本拠を置く民営のガンフォンリチウム(1772/HK、002460/深セン)と四川省に本拠を置く民営の天斉(ティエンチー)リチウム(002466/深セン)の2社が強く、これらの4社で世界市場の約9割を占めているもようだ。

 ガンフォンリチウムの2021年通期決算は、自動車業界のEVシフトを背景にしたリチウム相場の高騰の恩恵を受け、売上高が前年比2倍超の111.60億元、当期利益が同5倍超の52.30億元と大幅な増収増益を記録。水酸化リチウム生産量では米アルベマールを抜く勢いだ。同社は、中国企業による海外のリチウム権益買収の先駆けとしてオーストラリア、アルゼンチン、メキシコほかでリチウムを生産。さらに、電池材料の供給に加えて車載電池の開発・生産にも手を広げつつあり、世界的なリチウムイオン電池メーカーとなる目標を有している。

 天斉リチウムの21年通期決算も、売上高が前年比2.3倍の76.63億元、当期損益が前期の18.33億元の赤字から20.78億元の黒字へと転換。同社は18年にチリSQM株式の約24%を取得したものの、その後の業績不振で利息の支払いにも窮する債務危機に陥り、20年12月にリチウム権益の一部をオーストラリアの資源会社に売却していた。デフォルト(債務不履行)危機回避から一転し、短期的な業績回復を遂げた形だ。

 22年市場予想PER(5月31日終値ベース)でもガンフォンリチウムが10.3倍、天斉リチウムが12.0倍と、米アルベマールの22倍、米ライベントの28倍と比べても割安水準にある。

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

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