TDSE・東垣直樹社長インタビュー:AI活用の多彩な製品を展開
2022/6/7 9:00
TDSE(7046)はAI(人工知能)製品、ソリューションの開発、販売を手掛ける。AIを使ったデータ分析をコア技術とし、データ活用によるテーマの抽出、データの分析、システム実装から人材育成まで、ワンストップで展開している点が強み。AIを活用したデータ分析はいまや企業活動に不可欠になっており、将来的な成長期待は大きい。同社の現状と今後について東垣直樹社長に聞いた。
――前3月期決算は非連結売上高17億2300万円(前々期比30.2%増)、営業利益2億1700万円(同4.3倍)で大幅な増収増益となりました。
「当社の事業にはAIノウハウを軸としたコンサルティングサービス(フロー型)と、AI製品などによるサブスクリプションサービス(ストック型)の2事業があります。前期は両事業とも成長しましたが、特にコンサルティングサービスにおいて案件の大型化・長期化があり、収益拡大につながりました。現在、コンサルティングサービスは売上高全体の約9割を占めており、当社業績の安定的な成長の基となっています。今後は創業から積み上げてきたノウハウを活用した独自のAI製品・サービス構築にも注力し、成長事業であるサブスクリプションサービスの売上拡大を進めます」
――今期決算については売上高20億2000万円(前期比17.2%増)、営業利益2億2000万円(同0.9%増)の見通しです。
「AIを活用し、企業活動を合理化、効率化するニーズは今後も増加していくでしょう。引き続きコンサルティングサービスでは顧客との関係を深化させ、中・長期にわたる関係を強化していくことで売上拡大につなげます。また、サブスクリプションサービスに関しては、当社の取扱商品を販売する代理店の獲得や、既存製品のサービス拡張、新サービス開発を推進し、より一層の売上成長に力を入れていきます。こうしたことから、売上高は対前年比17%増と順調に伸びる見通しですが、その一方でエンジニア要員の拡充・教育や、外注費増に伴う費用増を見込んでいます。また、純利益は1億2400万円(同15.8%減)予想ですが、これは任期満了で退任する城谷直彦代表取締役会長に対する特別功労金を特別損失として計上するためです」
――有望なサービスには何がありますか。
「サブスクリプションサービスとして、海外AI製品であるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)分析AI『Netbase』、対話型ロボットAI『Cognigy』のほか、自社AI製品でプロダクトの価値を高める『scorobo』も展開しています。『Netbase』を基にしたインフルエンサー分析サービス『SNS-LINK』、『Cognigy』を活用したコロナワクチン接種予約ボットやアパレルなどの小売業における問い合わせ・来店予約のAIチャットボットの利用も増加しています。国内では、インバウンド(訪日外国人観光客)市場が復活の兆しを見せていることもあり、英語、ドイツ語、中国語、イタリア語など多言語対応を基本とする『Netbase』『Cognigy』は有効なツールとして利用が拡大していくことを期待しています」
「企業との協業面では、東京電力パワーグリッドと共同で開発した『架空送電線AI診断システム』について、電力業界内で当社が提供する送電線の劣化状態を分析するAIシステムが評価され、昨年から東北電力ネットワークでも活用されています。また、『Netbase』販売代理店として電通国際情報サービス(ISID)との連携も進んでおり、当社への業績効果は大きく、引き続き関係強化に努めます。さらに、新たな連携先として進めてきたAidemy社やスマートウィル社といった専門分野に特化した企業との連携など、互いの強みを補完し、WIN―WINの関係性が維持できる企業の探索も積極的に進め、見極めていきたいと考えています」
サブスクリプション型サービスに注力し長期的成長へ
――将来のビジョンを教えてください。
「AI黎明(れいめい)期には多くの企業が闇雲にPOC(Proof of Concept)からAI利用を始め、実サービスとしての活用は少なかった印象でした。しかし、当社設立から10年を経過した現在、多くの企業でAIの活用は実用フェーズに入っており、AIを的確に活用している企業の経営判断力はスピーディーで、高度化されています。それは当社がAI技術を提供する企業の変革スピード、ビジネス成長度を見ているとよく分かります。これら顧客を支えるのが当社のコンサルティング技術で、当社が独自に蓄積してきたノウハウは次世代メンバーにも継承し、人材力の底上げも図っていきたいと考えています」
「今後、さらなる成長を目指す鍵は、サブスクリプションサービスです。ここの売上を加速度的に高めていくことが、当社の長期的な成長とともに、投資家から注目を集めることにつながるでしょう。そのため、『Netbase』『Cognigy』『scorobo』などのAI製品を基にした多彩なサービス開発に、今後はより注力していきます。他社との協業、M&A(企業の合併・買収)の可能性も検討していくことでサービス領域の拡充も図り、自社内部による成長だけではない非連続な成長も目指していきます」
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