コプロHD、長期成長視野に採用積極化――清川社長に聞く

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2022/6/14 8:50

 建設業界向け人材派遣のコプロ・ホールディングス(7059)は、2027年3月期の連結売上高目標400億円(前期は156億円)へ向けて採用活動のギアを上げている。また、あらゆる業務プロセスの「見える化」を通じて、効率化を進めていく構えだ。清川甲介社長に話を聞いた。

 ――建設業界の事業環境はどうか。

 「万全の感染対策を取っていることもあり、新型コロナウイルスの影響は幸い限定的だ。特に地方都市では、昨年の東京五輪後にさまざまなプロジェクトが活発化しており、都市再開発関連工事のニーズも旺盛だ。例えば神戸の再開発や大阪万博関連も含めて今後も多くの案件が控えている。人材の稼働率は今後も高水準で推移するだろう」

 ――今期の業績は、売上高を前期比15%増(179億円)と見込む一方で、営業利益は同37%減の10億円(一時的な損益を除いた調整後=Non-GAAPで13億円、同28%減)に後退する計画だ。

 「営業減益を計画する背景には、採用費の大幅な上積みがある。このマーケットで成長していくためには、まず優秀な人材を多く確保し事業規模を拡大させる必要がある。勝負に出る局面が来たとみて、これまで売上高の1%程度に抑えてきた採用広告費(中途採用ベース)の目安を今期は約3%に引き上げる。また、1人当たりの採用コストの基準も緩めていく」

 ――具体的な採用戦略は?

 「ウェブ媒体への広告投下を強化するほか、自社で運営する求人サイト『現キャリ』をフル活用する。人材紹介会社などの活用も積極化するため、紹介報酬を予算に盛り込んだ」

 「それでも中途採用の環境の先行きには見えづらさもあり、今後は数を計算しやすい新卒採用がカギを握るだろう。コプロHDでは4月入社の新卒の建設エンジニアを、5月のゴールデンウイーク後には顧客の現場に配属して100%稼働できる研修体制を備えている。今期の採用は前期比1.5倍の84人を予定している」

 ――今期の建設・プラント技術者派遣部門の採用計画は1501人で、期末在籍人数は2733人を見込んでいる。前期実施したM&A(企業の合併・買収)が寄与する分を除いても616人増えるチャレンジングな目標に映るが。

 「広告費を積み増すだけではなく、プロセスの面からも採用力の強化を図る。これまでに営業部門において確立した『見える化』の手法を、採用部門でも活用する」

 ――見える化とは。

 「例えば、営業職が月に何件、どういった顧客を訪問してどれだけ受注を獲得しているかなどのデータを徹底的に数値化した。これにより、効率的な営業戦略が磨かれ、派遣の活用に積極的な大手顧客向けの売上比率の向上につながった。人事においても、『いつまでに何人を採用する』という目標から逆算し、そのために必要な面接の頻度や回数、求職者の接点を数値化することで計画を実行していく」

 ――採用増とともに、定着率を改善させていく必要がある。また、新卒のエンジニアの育成はどのようにしていくか。

 「新卒や異業種から採用した未経験者は1~2年で離職してしまう傾向がある。それを防ぐための動機付けとして、5月に公表した中期経営計画では『エンジニア応援プラットフォーム』の構築を掲げ、キャリア形成をサポートしていく方針だ。これは、建設技術者としての能力をランク分けし、順々にレベルアップを図っていく仕組みだ。また、働き方改革で先行する大手顧客との取引を拡大していることも、定着率の改善に寄与すると考える」

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