S&P500が「弱気相場入り」、動揺は禁物、長期スタンスで保有継続を

投信

2022/6/14 17:49

 米国株式が急落している。13日の米国株式市場では、NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数の主要3指数が揃って年初来安値を更新した。機関投資家の多くが運用の指標とするS&P500は今年1月3日の過去最高値4796.56から13日終値3749.63までの下落率が21.8%に達し、直近高値からの下落率が20%を超える「弱気相場入り」した。米金融引き締めピッチが加速し、景気が冷え込むとの警戒感が強まっている。米国株式市場は当面、神経質な展開が続くと見られるが、そのような時だからこそ、長期投資のスタンスを改めて確認したい。

 米国株式への投資として、「S&P500(配当込、円ベース)」を使って保有期間別リターンをシミュレーションした。2007年5月以降の各月末に投資を行ったと仮定し、1年間、3年間、5年間、10年間保有した場合のトータルリターン(年率)の推移を見た。1年間であれば、2008年5月末時点(2007年5月末に投資)から2022年5月末時点(2021年5月末に投資)までの各月末時点における過去1年間のリターンの推移を、10年間であれば、2017年5月末時点(2007年5月末に投資)から2022年5月末時点(2012年5月末に投資)までの各月末時点における過去10年間のリターン(年率)の推移を見た。2022年5月末時点の過去10年間のリターンは、2012年5月末に投資して10年間保有した場合のリターンといえば分かりやすいであろう。

 保有期間別リターンの最大、最小を見ると、1年間は最大65.18%、最小▲51.91%となった。大きなリターンを獲得した一方で、落ち込み幅も大きく、ブレが大きい。期間が長くなるに従ってリターンのブレ幅は小さくなり、10年間(年率)では最大21.35%、最小5.96%となった。10年間(年率)のリターンの平均は14.85%と1年間の13.57%、3年間の13.81%を上回った。

 10年間(年率)のリターン最小が5.96%であるということは、対象期間(投資月2007年5月~2012年5月)の61カ月間のどの月に投資をしても、10年間保有すれば必ずプラスのリターンを獲得できたことを示す。1年間では投資対象期間169カ月中41カ月がマイナスのリターンとなり、3年間(年率)では145カ月中17カ月、5年間(年率)では121カ月中8カ月がマイナスのリターンとなった。保有期間が長くなるほど、リターンがマイナスとなる月数が減る、つまりプラスのリターンを獲得する可能性が高まることになる。

 2007年5月から2022年5月までの間には、リーマンショック、欧州債務危機、チャイナショック、米中貿易摩擦、コロナショックなどがあり、米国株式市場は幾度も大きな下落に見舞われてきた。しかし、その中にあっても、10年間保有した場合には、プラスのリターンを安定的に獲得してきたことを、シミュレーションは示している。

 インフレを抑制するために米FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めペースを速めるとの見方が強まっている。米株式市場を取り巻く不透明感は深まる一方であるが、短期的な値動きに動揺することなく、長期的なスタンスで腰を落ち着けて臨みたい。

提供:モーニングスター社

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