FOMC、賛成多数で0.75ポイント利上げを決定―1委員は0.50ポイント利上げ主張

経済

FOMC

2022/6/16 9:47

<チェックポイント>

●9月FOMC「0.50ポイントあるいは0.75ポイント利上げが最も可能性が高い」

●22年にインフレが年率5%上昇超えると予想

●政策金利は23年に最大3.8%に上昇と予想

 FRB(米連邦準備制度理事会)は15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を市場予想通り0.75ポイント引き上げ、1.50-1.75%とすることを8対1の賛成多数で決めた。

 利上げ幅は前回5月FOMC(0.50ポイント)を上回り、94年11月以来27年7カ月ぶりの大幅利上げとなる。利上げは3月FOMC以降、3会合連続で、利上げ幅は計1.50ポイントに達した。

 また、市中銀行がFRBに預け入れることを義務付けている準備預金の預入額に付与する金利も同率引き上げ、1.65%とすることも決めた。16日から実施される。

 FOMCの9委員のうち、ジョージ・カンザスシティ地区連銀総裁だけが0.50ポイント利上げを主張し、0.75ポイント利上げに反対した。

 FOMC後の声明文で、今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、「2%上昇の物価目標と雇用の最大化を目指す。これらの目標を支援するため、FF金利の誘導目標の継続的な引き上げが適切であると判断した」とし、利上げサイクルを一時休止せず、継続する方針を強調した。

 市場では当初、5月と6月にいずれも0.50ポイントの利上げを実施し、それ以降は0.25ポイントの利上げを予想していたが、10日の5月CPI(消費者物価指数)が前年比8.6%上昇と、40年超ぶりの高い伸びとなったことや、6月ミシガン大消費者信頼感指数でインフレ期待が急上昇したことを受け、今回のFOMCでは0.75ポイントの大幅利上げ予想が大勢となっていた。

 市場では次回7月FOMCでも0.75ポイント、9月FOMCで0.50ポイント、11月と12月は各0.25ポイントの計1.75ポイントの利上げを実施。年末までにFF金利誘導目標を3.25-3.50%に引き上げると予想している。

 パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、今後の利上げ幅の見通しについて、「今回の利上げ規模が一般的だとは思っていない」としたが、「高インフレが重大な困難をもたらすことを痛感している」と述べ、0.50ポイントあるいは0.75ポイント利上げが最も可能性が高いとしている。

 6月FOMC予測(中央値)では、PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ見通しは、22年のコア指数が4.3%上昇(前回3月予測は4.1%上昇)、23年は2.7%上昇(同2.6%上昇)、24年は2.3%上昇(同2.3%上昇)と、22年と23年の予想が引き上げられた。全体指数は、22年が5.2%上昇(同4.3%上昇)と、22年にインフレ率が5%超となると予想している。

 また、インフレ圧力を高めることなく安定成長を可能にする短期金利の水準で、金融政策が目指すべきといわれる、いわゆる、中立金利(政策金利の長期予測)は2.5%(同2.4%)に引き上げられた。前回3月予測では政策金利は23年と24年に最大2.8%となると予想されていたが、今回の予測では23年に最大3.8%と、4%近くとなり、中立金利を超えると予想されている。

 政策金利の見通しについては、18人の委員による金利予測を示す「ドット・プロット」でも、22年の政策金利が3.25-3.50%のレンジ予想が8人と最も多く、次いで、3.00-3.25%が5人、3.50-3.75%は4人、3.75-4.00%は1人となっている。また、23年は3.50-3.75%が7人と最も多く、次いで、3.75-4.00%と4.00-4.25%がいずれも3人と、金利水準が4%超となると予想、一段と引き締め方向にシフトしている。先物市場では4.00%で金融引き締めサイクルは終わると予想している。

 GDP(国内総生産)見通しは22年が1.7%増(同2.8%増)、23年は1.7%増(同2.2%増)、24年は1.9%増(同2.0%増)と、いずれも前回予想から下方修正された。失業率は22年が3.7%(同3.5%)、23年は3.9%(同3.5%)、24年は4.1%(同3.6%)と、いずれも引き上げられた。

 次回FOMCは7月26-27日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

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 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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