<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を予想通り据え置き

新興国

2022/6/24 16:02

 インドネシア中央銀行(BI)は23日の理事会で、通貨ルピア相場を安定させ、インフレを抑制し、景気回復を支援するため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を引き続き、過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。現状維持は16会合連続。市場予想通りだった。

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回5月会合時と同様に、「世界各国でスタグフレーション(景気後退にもかかわらず、インフレ率が上昇する状態)リスクが高まる中、通貨ルピア相場の安定を維持し、インフレを抑制する必要性、さらには経済成長を促進し続ける努力と合致する」とし、インフレ抑制と景気回復の両方に配慮し、政策金利を据え置いたとしている。

 今後の金融政策については、前回会合時と同様、「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、ルピア相場の安定(ルピア安の阻止)を維持し、インフレ抑制を支援するため、(ドル売り・ルピア買いの市場介入などを含めた)為替相場の安定化政策を強化する」としている。

 ルピア相場の見通しについては、「ルピア相場は22日時点で5月末に比べ1.93%下落、21年12月末に比べ4.14%下落した」としたが、「他の多くの新興国通貨の下落に比べると良好だ」とし、その上で、「国内の為替供給(企業からの外貨供給)は維持されており、インドネシア経済の見通しは依然として良好だ」とし、楽観的な見方を示している。

 足元のインフレについては、5月CPI(消費者物価指数)が前年比3.55%上昇と、4月の同3.47%上昇から加速したことを受け、「世界的なエネルギーや食料の価格上昇を背景にインフレ圧力が高まっている」と、懸念を示した。コアインフレ率は前年比2.58%上昇と、4月と変わっていない。

 その上で、中銀は、「将来のインフレ圧力とインフレ期待への影響を引き続き警戒し、コアインフレ率の上昇の兆しが見えた場合、政策金利の調整を行う」とし、利上げの可能性に含みを持たせた。

 インフレ見通しについては、「22年のインフレ率は3%±1%の物価目標のレンジの上限(4%上昇)を超える」とし、短期的にインフレリスクが強まるとの見方を維持。ただ、「23年にはインフレ率は物価目標に戻る」との見通しも据え置いている。

 景気見通しについては、「輸出が好調に推移する中、内需拡大に伴い、回復が続く」とし、国内経済が引き続き、強い内需と輸出に支えられるとの見通しを示した。その上で、「22年の成長率は4.5-5.3%増となる」とし、前回会合時の見通しを据え置いた。

 次回会合は7月20-21日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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