キャリアL、行政IT化需要取り込む――マイナンバー導入で大きな実績

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2022/6/29 8:50

 人材派遣のキャリアリンク(=キャリアL、6070)は、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を追い風に地方自治体との取引を拡大する。IT導入の基本となるマイナンバー(社会保障・税番号)の導入本格化による商機が期待される。

 政府は特定の個人を識別するためのマイナンバーの導入を進めている。マイナンバーを活用することにより、行政間での情報連携によって手続きの効率化が図られるほか、事務処理も円滑になる。将来的には、官民共通で利用可能なサービスの基盤の構築が見込まれ、運転免許証やスマートフォンとの一体化も視野に入る。

 一方、マイナンバーカードはまだ十分に浸透していない。今年6月1日時点の取得率は全人口の44.7%にとどまる。昨年にはデジタル庁が発足し、今後は普及に向けて政府、地方自治体が本腰を上げる。その際に活躍するのがキャリアLだ。

 同社はDXをめぐって、取引先の自治体数を今3月期から2025年3月期の間に161に増やす構え(前期は79)。主力のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の案件獲得には提案力と実績がカギを握る。政令指定都市における同社のシェアはトップクラスで、新たな受注を呼び込むサイクルが生まれつつある。

 前期(13カ月変則決算)の連結営業利益は44.2億円だった。自治体との取引拡大で大型案件の受注が増えたことで、収益性が向上した。BPOのほか、CRM(顧客関係管理)事業の売上はコロナ前の水準まで回復した。また、一般事務も金融機関向けが堅調だった。

 今期の営業利益の計画は46.4億円で、前期と比べて1カ月少ない期間にもかかわらず上積みを見込む。ローリング方式の中期経営計画では、最終年度の25年3月期に営業利益60.5億円を目指す。国や自治体向けには、マイナンバーを起点とする行政のワンストップサービスに関する需要が増えそうだ。

 同社の官公庁向けのBPO事業のリピート率は8割を超える(前期実績)。子育て支援給付金や商品券給付、インバウンド(訪日外国人観光客)対策、新型コロナウイルス対策などスポット案件にも柔軟に対応して評価を高めてきた。チーム派遣や下請けの要請も積極的に取り込み、運用ノウハウを蓄積している。

(写真:123RF)

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