<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を1.85ポイント引き上げ

新興国

2022/6/29 9:37

 ハンガリー中央銀行は28日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を1.85ポイント引き上げ、7.75%とすることを決めた。1回の引き上げ幅としては08年の世界的な金融危機以来、14年ぶりの大幅引き上げとなり、市場予想の0.50ポイントを上回った。

 他の政策金利は1.35ポイント引き上げた。ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を7.25%、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をそれぞれ10.25%とした。新金利は29日から適用される。

 中銀はコロナ禍が沈静化し、経済活動の再開に伴ってインフレが加速し始めたことを受け、21年6月会合でベース金利だけを約10年ぶりに0.30ポイント引き上げ、他の金利は据え置いた。同7月から同11月16日の会合まですべての政策金利を同率引き上げ、同11月30日の緊急会合ではベース金利以外の金利を引き上げた。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってからも、インフレ抑制のためにベース金利の引き上げを継続しており、これで利上げは13会合連続。利上げ幅も計7.15ポイントに達した。

 中銀は追加利上げを決めたことについて、声明文で、「インフレ上ブレリスクが一段と高まっており、コモディティ(国際相場商品)とエネルギーの価格の持続的な上昇リスクは外部の高インフレが長期にわたることを意味する」とし、強いインフレ懸念を示した。また、賃金上昇によるインフレ加速が生じた場合、高インフレが続く可能性があるとし、前回5月会合時と同様、「インフレ期待を抑制し、第2ラウンド効果のインフレリスクを軽減するため、思い切った一歩(1.85ポイントの大幅利上げ)を踏み出した」と述べている。

 中銀はインフレ率について、ウクライナ情勢や対ロ経済制裁の影響の薄れ、利上げ効果などで秋にピークに達し、その後、緩やかなペースで下落するとの見方を変えていないが、今年のインフレ率を前年比11-12.6%上昇、23年は同6.8-9.2%上昇(前回会合時は3.3-5.0%上昇)、24年は物価目標(3%上昇)に収束すると予想。23年のインフレ見通しを引き上げた。

 金融政策の見通しについては、「今後、インフレ率が持続的に物価目標の水準で安定し、インフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクが金融政策のタイム・ホライズン(時間軸)で均衡するまで利上げサイクルを続ける」とし、利上げ継続の考えを改めて強調した。

 市場では、今回の大幅な利上げについて、通貨フォリントが急落し、過去最安値を付けていたことが背景で、今後も中銀は大幅利上げを継続する可能性が高いと見ている。通貨安は輸入インフレを押し上げ、インフレ全体を加速させる。今回の大幅利上げを受け、外為市場でフォリントが対ユーロで1%超急上昇している。

 次回の金融政策決定会合は7月26日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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