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シナネンＨＤ、「脱炭素社会」に向けた事業変革が本格化

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2022/7/6 8:45

　ＬＰ（液化石油ガス）ガスや石油製品の販売を主力とするエネルギー商社のシナネンホールディングス（８１３２）は、脱炭素社会に向けた事業変革を急ぐ。第２次中期経営計画（２０２１年３月期～２３年３月期）を通じた基盤整備を経て、来期以降は新規事業をドライバーとする業績成長が本格化する公算だ。

第２次中計最終年度は「非エネルギー事業」がけん引

　同社は、全国に灯油中継基地を８０カ所以上展開し、取扱量は国内流通量の１０％超に相当する約１３０万キロリットルに上る。ＬＰガスの顧客は、直売、卸売り合わせて約７０万軒。取扱量は約５０万トンで業界３位。現在の安定的な収益源となっている。

　戦前の石炭販売を出発点に時代の変化に対応し事業領域を広げてきた同社は、近年では事業の多様化を進め、自転車事業、環境・リサイクル事業、抗菌事業など多彩な事業を国内外で展開している。また、再生可能エネルギー分野でも、メガソーラー（大規模太陽光発電所）による太陽光発電やメンテナンスサービスを手掛けているほか、新型マイクロ風車発電や韓国での大型陸上風力発電に関しても事業化を目指している。

　２４年３月期からスタートする新中計では、創業１００周年の２７年へ向けた脱炭素の取り組みを一段と加速する。それに先立つ２３年３月期は、特に「非エネルギー事業」の営業利益が前期比４．４倍の８．７億円に急拡大する見通しだ。

　足元の非エネルギー事業の伸びをけん引するのが、会員制の自転車レンタル（シェアサイクル）「ダイチャリ」を展開するシェアサイクル事業。１都３県（東京・神奈川・千葉・埼玉）と大阪府を中心に展開し、ユーザーは貸出ステーションで２４時間いつでもどこでも車両の借り受け、返却が可能で、気軽に利用することができる。１９年のシェアサイクル事業開始以降、順調に事業規模を拡大させている。

新規事業への積極投資に、低効率資産・事業の縮小・撤退でＲＯＥ向上へ

　シェアサイクル事業単独での損益は開示していないが、２２年３月期は、運営ステーションの数が２２００カ所、設定自転車数は１万台を超え、赤字幅が大きく縮小した。２３年３月期は料金改定や回転率向上の効果で前期比４．５億円の利益改善を見込んでおり、通期黒字化を目指している。

　このほか、非エネルギー事業では、２３年３月期は自転車販売や建物維持管理事業も利益の伸びに貢献する。

　２３年３月期の連結業績は、売上高３１００億円（前期比７．１％増）、営業利益２５億円（同０．８％増）を予想。売上面は原油価格高騰などの影響を引き続き受ける一方、利益面は、非エネルギー事業の貢献に加え、ＬＰガスを中心とする仕入れ価格上昇分の価格転嫁が寄与する見込みだ。

　安定的な収益源であるエネルギー事業でキャッシュを稼ぎつつ、脱炭素社会を見据えた新規事業の投資と育成を重ねている。また、遊休不動産や不採算事の縮小・撤退も現中計で進めており、資産効率の面でも現状のＲＯＥ（自己資本利益率、前期は約５％）の向上を図っていく。

（写真：１２３ＲＦ）

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