ENECHA・城口洋平CEOに聞く:EVステーションの設置が好調

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2022/7/15 16:00

 ENECHANGE(4169)はプラットフォーム事業、データ事業、EV(電機自動車)充電事業を手掛ける。2022年は「EV元年」といわれ、今後、EVの普及が加速する機運にある。それを受け、同社は現在、特にEV充電事業に注力。将来に向け、EVステーションの拡充に取り組んでいる。EV充電事業の現状と将来について、城口洋平CEO(最高経営責任者)=写真=に聞いた。

 ――EVステーションの設置が好調ですね。

 「当社のEV充電事業は自動車の駐車スペースを持つオーナーに対し、初期費用無料、月額利用料のみでEV普通充電器を設置しています。オーナーは駐車スペースに手軽に付加価値を付けられる上、EVユーザーの集客も可能になります。当面は3000台、27年には3万台の設置が目標です。レストランチェーン、ゴルフ場、ホテル、コインパーキングなどから引き合いが増えており、早期に3000台の設置は達成できるでしょう。3万台も前倒しで達成できると考えています」

 ――EVステーションの設置が好調の背景には何がありますか。

 「脱炭素社会の実現に向け、世界でEVが注目されています。エネルギー価格、特にガソリン価格の高騰もEV普及の追い風になり、それがEVステーション設置の好調につながっています。EV自体の普及も加速し、今年6月にはEV、PHV(プラグインハイブリッド)の新車販売比率が3.9%と過去最高となり、強い上昇トレンドにあります。22年は新型EVの発売が多く予定されているため、EVおよびPHV販売比率は年末に5%程度まで上昇する可能性があります」

商品力と300億円投資で圧倒的なシェア獲得へ

 「一方、6月に従来の『エネチェンジEV充電サービス』の名称を『ENECHANGE EV CHARGE』に変更し、ブランドロゴを一新しました。また、これまで設置を進めてきた普通充電器『モデル1』に加えて、新たに補助金対象となる6キロワット対応の『モデル2』をラインアップに追加しています。普通充電器の多くは3キロワット出力ですが、EVバッテリーの大容量化が進んでいることもあり、充電速度が従来の倍速となる『モデル2』のニーズはより大きいでしょう」

 「さらに、『モデル2』は審査の厳しい日本自動車研究所認証センター(JARI)の認証を取得しており、国の充電インフラ補助金に対応しています。こうした補助金を活用することも含め、当社は3万台を設置するため最大約300億円の投資をする計画で、6月30日から『エネチェンジのEVチャージ導入支援キャンペーン』を開催中です。当社が独自にEV充電器設置の導入支援金を拠出し、国の補助金に上乗せすることで、オーナーは無料でEV充電器を設置できます。こうしたことで、EVステーション設置の好調は今後も続くでしょう」

 ――EVステーション設置の営業展開について教えてください。

 「営業は直販とパートナー経由の2本立てで展開しています。現在、当社の営業チームは30人ほどですが、早期に100人規模の体制構築を目指します。また、パートナープログラムを開始し、法人パートナーを募集しています。充電ステーションを設置したお客様とのつながりからパートナーが増えるケースもあり、三菱オートリース様など既に50社以上の法人パートナーと提携しています。3万台の設置に向け、将来的には500社との提携を目指しており、直販、パートナーの拡充で年間1万台を設置できる体制構築を図ります。それに加えて、年内には広告展開を開始する準備もしており、来年にかけてより一層の設置加速を目指します」

 ――将来的なビジョンはいかがですか。

 「経済産業省は『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』で、公共普通充電器は30年までに12万台の目標が設定されています。さらに、EV比率が50%になるとみられる40年には、60万台の充電設備が必要と当社は試算しています。こうした中で、当社は先行者として、さらに充電器、設置費用の面でも優位性があり、ゆくゆくは目的地充電分野において70%以上の圧倒的なシェア獲得を目指します。当面は投資先行になりますが、普及台数3万台を通過点として収益化も実現し、さらに10万台を超える設置を目指します」

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