サイジニア、ZETAとの経営統合で迎えた成長フェーズ―山崎社長に聞く(2)

株式

2022/7/29 8:46

(1)からつづく

 サイジニア<6031.T>と経営統合をしたZETAは、商品検索と並ぶ主力製品が口コミの投稿管理を実現するレビューエンジンだ。同社のツールを導入しているファッションブランドのアダストリア<2685.T>は、近年EC売上が急拡大している。そのサイト(「ドットエスティ」)は、情報量が豊富で詳細な絞り込みに対応した商品レビューに定評があるように、ZETAの技術は多くのプレーヤーを陰で支える。また、新たに投入した「ZETA HASHTAG(ハッシュタグ)」も大きな可能性を秘めるという。

<口コミと商品を結ぶ「ハッシュタグ」投入>

 「レビューはECサイトにおける消費者発の『ソーシャル情報』だ。用意された宣伝文句よりも信ぴょう性が高い場合が多く、それゆえ購入の決定要素になる。いまやカスタマーレビューを持たないサイトは成功できないとさえ言われており、ここでもわれわれのツールが活躍する。多様な絞り込み条件や評価項目を備えたレビュー機能を柔軟に実装できる。もちろん検索エンジンの優位性により構築した顧客基盤がモノを言う」

 「そして、検索やレビューなどの橋渡しとなるのがZETA HASHTAGだ。これは、特定のキーワードを付与する『ハッシュタグ』を用いたエンジンで、商品と商品、商品とレビューを結び付ける。サイジニアが得意とするAI(人工知能)解析の技術によりキーワードを抽出し、ハッシュタグを通して関連商品を探し出す。また、その組み合わせを活用したランディングページ(ユーザーが外部から最初に訪れるWebページ)を自動で生成し、キーワードにひもづいた商品情報や口コミ情報を掲載できる。ユーザーの回遊性(注1)とSEO(注2)の向上に寄与する仕組みだ。既に複数社が導入へ向けて動いている。顧客の要望を起点に製品化にこぎつけたサービスであり、私の経験上そういうプロダクトはヒットする」

注1・ユーザーがサイトに留まる時間

注2・自然検索による検索順位を上げる取り組み=検索エンジン最適化

<「新規事業」にも意欲、株価上昇はまだ初動>

 来期以降のビジョンについて山崎社長に尋ねると、「完全な新規事業」という言葉が返ってきた。気になるその内容は?

 「いわゆる『BtoBtoC(企業の対個人サービスの支援)』がZETAのビジネスの大半だが、いずれは新規領域であるBtoCに乗り出すつもりだ。他社にツールを提供するだけではなく、じかに消費者と接するマーケティングを手掛けていきたい。残念ながら詳細はまだ話せない。ただ、既存事業を通じて集積した膨大な口コミデータがこれからのクッキーレスやWeb3時代に活用され得るということがヒントになる。ただ、どのようなサービスであれ現在の顧客と競合するのではなく、さらにプラスとなる形にする」

 デクワスの収益改善にZETAとの統合により、一気に業績拡大フェーズに突入したサイジニア。今後はコロナ後のリオープン(経済活動再開)に伴い、店舗とECのOMO(オンラインとオフラインの融合)推進サービスも本格化が期待される。底値圏からの反発色が強まり始めた株価は、まだ初動の段階だ。

提供:モーニングスター社

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