<新興国eye>タイ中銀、賛成多数で0.25ポイント利上げを決定

新興国

2022/8/12 14:19

 タイ中央銀行は10日の金融政策委員会で、政策金利である翌日物レポ金利を0.25ポイント引き上げ、0.75%とすることを6対1の賛成多数で決めた。1委員は0.50ポイントの利上げを主張し、反対票を投じた。利上げ幅は市場予想通りだった。利上げは18年12月以来、3年8カ月ぶり。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を引き上げた理由について、「景気回復の勢いは強まっており、タイ経済は年末までにコロナ禍前の水準に戻り、引き続き勢いを増す。インフレ率はしばらくの間、高水準にとどまる見通し」とした上で、「われわれはコロナ禍に対応した超金融緩和政策の必要性は低下した」としている。

 また、1委員が反対票を投じたことについて、「政策金利をあとで大幅に引き上げることになるリスクを減らすため、0.50ポイントの引き上げが望ましいと主張した」としている。

 景気の見通しについては、「タイ経済は力強く回復を続けると予想される。海外渡航制限の緩和や旅行マインドの改善で外国人観光客が予想以上に増加していることや、雇用状況と家計所得の改善に伴い、個人消費の回復が続く」としつつ、「世界景気減速リスクが高まっているものの、タイ経済への影響は限定的だが、生計費の上昇が個人消費に与える影響を注視する必要がある」と景気回復リスクは残るとしている。

 インフレ見通しについては、「インフレ率は22年末まで高水準を維持する。コアインフレ率は(原油価格の上昇とコスト高)の価格転嫁がより速く、高くなる可能性があり、上ブレリスクは残る」と見ている。7月のインフレ率は前年比7.1%上昇となり、6月の7.66%上昇から伸びが鈍化したが、物価目標レンジ(1-3%上昇)を依然大きく上回っている。コアインフレ率は7月は約3.0%上昇と、6月の同2.5%上昇から加速している。

 今後の金融政策については、「政策金利は長期的に持続可能な成長と一致する水準に正常化されるべき。金融政策の正常化は、今後の成長とインフレの見通しに合わせて、段階的かつ慎重に行う」とし、小幅利上げを継続したい考えを示している。

 次回会合は9月28日に開催される予定。

<関連銘柄>

 タイSET<1559.T>、アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、

 上場MSエマ<1681.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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