来週の日本株の読み筋=米金利上昇への警戒感和らぐ中、米景気の底堅さも意識されジリ高の可能性

国内市況

株式

2022/8/12 16:30

 来週(15-19日)の東京株式市場は、米国の金利上昇への警戒感が和らぐ中で、米景気の底堅さも意識される「適温状態」がジリ高の動きにつながる可能性がある。

 現地10日に発表された米7月CPI(消費者物価指数)の上昇率は前年同月比8.5%と市場予想(8.7%)を下回り、プラス幅はおよそ40年ぶりの高水準だった前月(9.1%)から縮小した。ガソリン価格の急落が背景にあり、大幅な政策金利の誘導目標引き上げを続けるFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派姿勢の緩和期待が膨らんだ。さらに、同11日発表の米7月PPI(生産者物価指数)もマーケットの読みほど伸びず、リスク選好のムードが広がった。

 一方で、足元の米景気に対する弱気な見方も後退しつつある。5日の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比で52.8万人増(市場予想は25.0万人増)となり、失業率も歴史的な低水準にある。利上げをめぐる懸念要素ではある一方、インフレでも落ち込まない経済活動の力強さととらえることもできそうだ。いずれにしても9月下旬のFOMC(米連邦公開市場委員会)までは時間があり、来週については市場の動きも慌ただしくなりにくいと考えられる。

 スケジュール面では、国内で15日に4-6月期GDP速報値、17日に7月貿易収支、6月機械受注、19日に7月消費者物価指数が発表される。海外では15日に中国7月工業生産、中国7月小売売上高、中国7月都市部固定資産投資、16日に独8月ZEW景況感指数、米7月住宅着工件数、米7月鉱工業生産・設備稼働率、17日に米7月小売売上高、18日に米7月中古住宅販売件数などが予定されている。

 祝日明け12日の日経平均株価は3営業日ぶりに大幅反発し、2万8546円(前営業日比727円高)と高値で引けた。東京市場が休場だった11日の米国株式は高安まちまちながら、10日の東京市場終了後の同日の米国株式がインフレ鈍化を背景に大幅上昇したことを踏まえ、広範囲に物色された。株価指数先物買いを交え、上げ幅拡大の流れが続いた。心理的はフシ目となる2万8500円を回復し、1月12日(終値は2万8765円)以来7カ月ぶりの高値水準に踏み込んできたが、市場では「これが上に向けた号砲なのか、歪な短期上昇現象なのか、見極めが必要だろう」(準大手証券)との指摘もあった。

提供:モーニングスター社

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