FOMC議事録、必要以上の引き締めにリスクと指摘

経済

2022/8/18 10:27

<チェックポイント>

●多くの委員、9月以降も利上げ継続の必要性を主張

●市場は利上げペース加速によるリセッション入りに懸念

●景気後退の恐れあれば利上げペース抑える可能性も示唆

 FRB(米連邦準備制度理事会)は17日、7月26-27日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録を公表した。議事録では、複数の委員が「インフレ期待が実際のインフレの動きに重要な影響を与えることを指摘し、インフレ期待が抑制できなくなる事態を回避するためには、金融政策が適切な水準への移行が重要であることを強調した」とした。その上で、「今後の会合での金融政策について議論する中で、複数の委員は引き続き、FRBの使命(物価目標の達成と雇用の最大化)を達成するため、FF金利の誘導目標を継続的に引き上げることが適切であると指摘した」とし、9月以降も利上げ継続の必要性を示している。

 ただ、市場では利上げペースの加速により、米経済がリセッション(景気失速)に入るとの懸念を強めている。利上げペースについては、前回7月27日会合で、パウエル議長が会合後の会見で、利上げ継続に伴う景気への悪影響について、「(現在)米国経済がリセッション(景気失速)になっているとは思わない」とした上で、「短期にインフレ率を低下させることができなければ、インフレ抑制のコストが高まるだけ」とし、また、「FRBはリセッションを意図的に引き起こそうとはしていないが、ソフトランディング(緩やかな調整)の道筋は狭まっている」とし、早い段階での大幅利上げ必要性を強調している。

 今回、公表された議事録では、「一部の委員(タカ派)は、政策金利が十分な水準に達したら、インフレ率が確実に2%上昇の物価目標に収束するよう、しばらくの間、その水準を維持することが適切だ」とした。他方、議事録では、「多くの委員は、絶えず変動する経済状況と、金融政策の効果が長期にわたって遅れて出てくることを考慮し、必要以上に政策スタンスを引き締めるリスクもあると指摘した」としている。

 行き過ぎた利上げによる景気リスクに配慮し、FRBは前回会合後に発表した声明文で、今後の利上げ幅について、「適切な金融政策スタンスを検討する際、経済見通しに対する影響を引き続き監視し、FRBの使命の達成を妨げる可能性のあるリスクが発生した場合、金融政策スタンスを適切に調整する」とし、景気後退の恐れがある場合、利上げペースを抑える可能性を示唆している。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ