ワイヤレスG、業績本格回復の兆し

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2022/8/25 8:50

 ワイヤレスゲート(=ワイヤレスG、9419)は主力の無線通信技術規格「WiMaX」の売上が増加に転じる中で、周辺商材の拡販や原価改善の取り組みが奏功し、収益が本格的に回復しつつある。低水準にとどまる株価の逆襲が緒に就いた。

WiMaX契約数底打ち、収益性改善も進む

 同社は通信キャリアのインフラを活用したMVNO(仮想移動体通信事業者)。WiMaXの業況は、コロナ禍で販路が絞られた前12月期に落ち込んだものの、既に最悪期を脱した。業務プロセスの刷新によってホームルーターの全国販売網を構築したこともあり、契約数は今年2月に底打ち。7月時点で13.5万件と昨年末の水準に戻った。

 取り扱う業者が多く差別化しにくいWiMaXだが、同社は「ワイヤレスゲートWi-Fi+スマホ保険」「ピカプロDX」といった周辺商材に力を入れることで客単価引き上げに成功した。販売構成の改善につながり、粗利益率は今期上期に前年同期比で17.3ポイント上昇(52.3%)。連結営業損益も1.3億円の黒字(前年同期は0.6億円の赤字)に浮上した。

 ホームルーターの販売網については、提携する代理店を今年末で50社(昨年末は4社)へと広げる計画だ。さらに、これまで進めてきたシステム費用の合理化や商品構成の改善の成果がより大きく表れることが見込まれ、一段の利益率の向上が期待される。今期通期の営業損益の会社予想は2億円の黒字(前期は2.8億円の赤字)だが、上期は想定超の好進ちょくとなったもようだ。

地方需要の掘り起こし、株価に反発余地

 今後は地方需要の掘り起こしも加速する。政府が全国的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の音頭を取る一方で、十分な通信環境が整っていない施設やエリアも少なくない。同社は地域住民や自治体が食事を提供する「こども食堂」や、幼稚園・保育園などに関してIT化の潜在ニーズを見いだすと同時に、事業展開に必要な人材の獲得を積極化していく。

 データ通信量が増え続けることで、WiMaXをはじめとするワイヤレス・ブロードバンドサービスの市場は息の長い拡大局面が続く可能性が高い。収益体質を強化した同社は業績成長軌道への復帰が着実に進み、株価は今年2月付けた上場来安値269円からの巻き返し余地が大きい。

 目先的な材料としては、新型コロナウイルス絡みの入国制限の緩和に注目したい。インバウンド(訪日外国人観光客)の増加が予想されることで、同社もプリペイドSIMなどの販売機会が広がりそうだ。また、主要販路のヨドバシカメラ以外にも、訪日外国人向けに強みを持つ事業者との提携も視野に入る。

(写真:123RF)

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