TREHD、収益積み上げ加速へ――電力小売5社の統合効果にも期待

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2022/8/29 9:17

 廃棄物処理、資源リサイクルのTREホールディングス(9247)は、今3月期第2四半期(7~9月)以降の書き入れ時へ向けて、収益の積み上げペースが加速する公算だ。住友化学(4005)と取り組む廃プラスチックのマテリアルリサイクルの推進も注目される。

第1四半期利益は社内計画上ブレ

 第1四半期(4~6月)の連結業績は、売上高が228億円、営業利益が12億円となった。昨年10月にタケエイとリバーホールディングスが経営統合して発足したため前年同期の比較はないが、上期(4~9月)の会社計画に対する進ちょく率は営業利益(38億円)で約32%にとどまる。

 前四半期との比較でも営業利益の水準が低く、株価は12日の決算発表後に一時売り込まれた。しかし、同社の廃棄物処理・再資源化事業は4~6月の収益が膨らみにくい季節性がある。「社内計画に対しては、上回ってのスタートとなった」(TREHDの阿部光男社長)。

 4~6月のセグメント別の営業利益は、廃棄物処理・再資源化が9.2億円、資源リサイクルが11.6億円で、いずれも前年同期比で10%減少した。前四半期比では廃棄物処理・再資源化の28%減に対し、資源リサイクルはスクラップ価格の下落影響を抑制し、同13%の減少にとどめた。スクラップ市況は7月末時点で、1トン=4万1000円と4月末比で4割近く値下がりしている。

 一方、再生可能エネルギー事業は、運営する6つのバイオマス発電所のうち4施設で法定点検や定期点検を実施した。規模の大きい市原グリーン電力(GPW)では、タービン(4年に1度)とボイラー(2年に1度)の法定点検が重なったことで、停止期間が通常より長くなった。そうした影響で、同事業の4~6月の営業損益は6.1億円の赤字(前四半期は1.5億円の赤字)に落ち込んだ。

 しかし、4~6月のセグメント赤字の大半を占めた市原GPWの停止期間は過ぎ、7~9月以降は安定稼働が見込まれる。また、9月には電力小売事業5社を統合することで、効率化が期待される。存続会社となる横須賀アーバンウッドパワー(「タケエイでんき」へ商号変更)が、6発電所を一括して統制する。

住友化との提携検討順調

 通期の連結業績の見通しは、売上高が942億円(前期比38%増)、営業利益が93億円(同21%増)。配当は中間20円、期末20円の計40円(前期は25円、うち普通配20円)と予想している。

 住友化とは、廃プラを製品として再生させるマテリアルリサイクルの分野で業務提携を検討している。それに向けた実証と温室効果ガス削減効果の算定は順調に進んでおり、このほど検討延長の覚書を締結した。今後はTREHD傘下のリバー社の那須事業所で、新たな樹脂選別ラインを利用した精度向上やデータの精緻化・分析に取り組む。

 環境省は、2030年までに循環型経済の関連事業の市場規模80兆円以上(現在は50兆円)を目指す、新たな工程表を策定する見通しの中、今年4月には循環型経済を促進するための「プラスチック資源循環促進法」が施行され、同社の商機は広がっている。ガラスの再資源化や、太陽光パネルのリサイクルも潜在需要が大きく、グループには板・瓶ガラスをリサイクルするJWガラスリサイクル社も5月に加わった。

(写真:123RF)

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