ALBERT、提携先との「AI実装支援事業」が好調――データサイエンティストの積極採用で体制強化

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2022/9/12 9:00

 ALBERT(3906)は、国内大手企業と取り組むAI(人工知能)の実装に向けた支援事業が伸びている。今12月期上期は大幅営業増益を達成。この領域で鍵を握る「データサイエンティスト」の在籍数は国内最大規模を誇り、新規採用も積極化している。

AI、ビッグデータの浸透で成長

 ALBERTはAIを導入したい企業に対し、AI活用コンサルからAIシステムの実装まで一気通貫のプロジェクト型支援サービスを提供している。AI実装やビッグデータ解析に欠かせない、データサイエンティストと呼ばれる分析の専門家を、6月末時点で235人擁していることが強みだ。

 上期の売上高(非連結)は18.2億円(前年同期比15%増)で、営業利益は3億円(同57%増)に拡大した。同社の事業戦略である「CATALYST(カタリスト、触媒を意味)戦略」は、複数企業への支援を通じて、同社が「触媒(カタリスト)」の役割となって産業間のAI・データシェアリングを担うことを目指している。同社の基幹事業である「AI実装支援事業」におけるプロジェクトの進ちょくが収益につながる。

 この「CATALYST戦略」では、トヨタ自動車(7203)やKDDI(9433)をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、SBIホールディングス(8473)といった各分野のリーディングカンパニー8社と協業している。こうしたパートナーとの連携により業容が拡大する中、今期は通期で売上高41億円(前期比23%増)、営業利益6.6億円(同51%増)を計画している。

下期は稼働率向上へ

 一方、今後の成長へ向けてデータサイエンティストを増員した結果、稼働率は一時的に低下した。それでも潜在需要は大きく、先行きの成果に結び付く可能性が高い。同社の収益は下期偏重していることもあり、案件稼働が集中しやすい時期に向けて対応力を拡充した格好だ。

 人材定着の面でも改善を図る同社は、従業員が自己研さんに割く時間を十分に確保し、最新技術の実装など、主体的なスキルアップを目指す人が集まりやすい環境を整えている。今期からは社内での教育コンテンツを充実させたほか、データサイエンティストの採用に特化した専門部署を増員し、強化した。

 「CATALYST戦略」上の提携企業のほかにも、NTTドコモや資生堂(4911)、オリンパス(7733)といった大手との取引実績が豊富だ。直近では、東京電力ホールディングス(9501)と中部電力(9502)が共同出資する発電事業会社JERA(ジェラ)の新たな収支管理システムの開発を支援した。業績成長が継続することで、株価の見直しを促す展開が期待される。

(写真:123RF)

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