コーア商事H、業績拡大続く

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2022/9/15 8:50

 コーア商事ホールディングス(=コーア商事H、9273)はジェネリック(後発)薬向けの原薬販売を主力とし、医薬品も製造する。増収増益基調をキープし、今6月期の連結業績は売上高222億円(前期比9%増)、営業利益39.5億円(同4%)を計画している。

今期も増収・増益へ

 同社は原薬を仕入れて販売する商社機能と、自社での医薬品製造というメーカー機能を併せ持つ。原薬は世界10カ国以上の90社超と取引関係にあり、顧客の製薬会社の数も100を上回る国内トップ級の事業基盤を持つ。また、品質保証体制に定評があり、後発薬業界で信頼性をめぐる問題が相次ぐ中で優位性が高まった。

 業績面では慢性腎臓病向け「炭酸ランタンOD錠」の好調な売れ行きや、新規品目の増加に伴う原薬の販売増を背景に、営業利益が前期に38.1億円(前々期比13%増)に拡大した。今期も炭酸ランタンOD錠が引き続き伸びるほか、透析患者向けの「マキサカルシトール静注透析用シリンジ」の増産が寄与しそうだ。

 事業環境をめぐっては、中国のロックダウン(都市封鎖)影響が残るほか、円安やコスト増といった懸念材料も散在する。しかし、同社は高い品質保証体制を強みに収益を積み上げる見通し。今年末までにマキサカルシトールの生産能力を従来の1.5倍に引き上げることで、シェア拡大も期待される。

抗がん剤「ベンダムスチン」

 もう1つの注目要素が、2月に製造販売承認を取得した抗悪性腫瘍(しゅよう)剤(抗がん剤)の「ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液」だ。先発品の半分以下の薬価の同剤は、医療従事者の調整時の取り扱い負担を軽減する液剤タイプで、25ミリグラムと100ミリグラムの2種類の規格を揃えているため、患者の体表面積に合わせて調整ができる。

 ベンダムスチンについて同社は、今期の計画には織り込んでいない。「安定供給に万全を期すと同時に販売方法について検討が進んでいる」(同社の首藤利幸社長)としている。

 後発薬の市場が拡大する中で、同社は来期以降の視界も明るい。主力の蔵王工場(山形市蔵王)ではマキサカルシトールの増産に加え、バイアル(密栓樹脂びん)製剤の受託獲得を推進している。少量で人体に強い薬効を与える「高薬理活性」の注射剤などが、新たな業績成長のドライバーになりそうだ。

(写真:123RF)

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