【為替本日の注目点】FOMC、3会合連続で0.75ポイントの引き上げ
ドル円はFOMCの結果発表を受け乱高下。発表直後は144円70銭まで買われたが、その後143円41銭まで売られる。長期金利がやや低下したことや、ユーロ円の売りもあり、神経質な動きに。ユーロドルは大幅に続落。プーチン氏が21日、兵士の部分動員を命じたことでユーロ売りが加速し。NYでは0.9810までユーロ安が進む。FOMCの結果発表を受け株式市場は全面安。ダウは522ドル下落。S&P500は66ポイント下げ、3800ポイントを割り込む。債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。金は反発し、原油は続落。
マーケット情報
8月中古住宅販売件数数 → 480万件
ドル/円 143.41 ~ 144.70
ユーロ/ドル 0.9810 ~ 0.9920
ユーロ/円 141.60 ~ 142.87
NYダウ -522.45 → 30,183.78ドル
GOLD +4.60 → 1,675.70ドル
WTI -1.00 → 82.94ドル
米10年国債 -0.033 → 3.530%
本日の注目イベント
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
トルコ 中銀政策金利発表
欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(速報値)
欧 ECB経済報告
英 BOE金融政策発表
英 BOE議事録
米 新規失業保険申請件数
米 経常収支(4-6月)
米 8月景気先行指標総合指数
注目のFOMCでは政策金利を0.75ポイント引き上げ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.0~3.25%に決定しました。政策金利の引き上げ幅は、予想通り1ポイントではなく、0.75ポイントで、その後のパウエル議長の会見も、タカ派色を前面に出すもので、これも想定通りでした。
これで3月の会合以来「5会合連続の利上げ」を行い、直近では「3会合連続で0.75ポイントの大幅利上げ」を実行したことになります。声明文では、「最近の指標は支出と生産の緩慢な伸びを示している。雇用はこの数カ月、堅調に伸びており、失業率は低いままだ。インフレは高止まりし、それはパンデミックに関連した需給の不均衡、エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映している」とし、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド金利誘導目標のレンジを3.00-3.25%に引き上げることを決めた」としています。パウエル議長は会見で、「われわれはインフレを過去のものにする必要がある。痛みを伴わずにそうする方法があれば良いが、それはない」と述べ、「金利上昇と成長減速、労働市場の軟化は全て、われわれが仕える国民に痛みをもたらすが、物価の安定を取り戻せず、将来的に再びやり直さざるを得なくなるほどの痛みではない」と国民に理解を求めるような発言を行いました。声明と同時に公表されたFOMC参加者のFF金利見通しを示すドット・プロット(金利予測分布図)では、今年末までに4.4%を見込んでおり、今回の大幅利上げ後も1.25ポイントの利上げを示唆していることについて、パウエル氏はこれを認めつつも、次回11月会合での利上げ幅について特定はなされていないとし、年末までの追加利上げ幅を合計1ポイントにとどめることを支持するメンバーもかなり多くいたことを強調していました。また議長は「インフレを目標の2%に押し下げることを当局者らが強く決意しているというのが、主要なメッセージだ」とし、「この任務が完了するまで根気強く続けていく」と付け加えています。(ブルームバーグ)
パウエル議長は「さらなる痛みを伴う」と発言しましたが、NY株式市場では株価が全面安の展開となり、ドル円は144円70銭まで上昇する場面はあったものの、今回も145円を前にして反落しています。145円という壁と介入を意識したものなのか、あるいは昨日は長期金利が伸びず小幅ながら反落したことに反応したのか分かりませんが、明確な方向感は見られませんでした。引き続き11月と12月会合でも追加利上げを行うことは間違い無いようですが、その上げ幅も、ドット・プロットも今後のデータ次第だということは変わりません。
プーチン氏はウクラナイ侵攻に関して、戦闘継続のために部分的な動員に署名したと発表しました。ウクライナ軍の予想外の攻勢に劣勢を余儀なくされていることを考慮して兵士の増員を急いだものと思われますが、バイデン大統領は国連総会で演説し、「この戦争はウクライナが国として存続する権利、国民として存在する権利を消滅させるのが目的であり、それは単純明快だ。あなたが誰であろうと、どこに住んでいようと、何を信じていようと、これは血の凍る思いをさせるはずだ」と、プーチン氏を厳しく非難しました。プーチン氏は、「わが領土の一体性が脅威にさらされる場合には、もちろん、われわれが保持する全ての手段を利用する」と、核兵器使用の可能性にも触れています。
今日の最後のコメントはトランプ氏に関するものです。NY州のジェームズ司法長官は21日、トランプ前大統領が自身の不動産会社で資産評価に関し不正行為を働いたとして、同氏を提訴しました。裁判所に提出された訴状には、トランプ氏のほか、トランプ・ジュニア、イバンカ、エリックの3名の名前も挙がっており、トランプ氏ら被告が「トランプ氏の財務状況に関する年次報告書を作成する上で、数多くの不正行為と虚偽記載に及んだ」と記されています。米中間選挙予備選ではトランプ氏が推す候補者が思いのほか苦戦しており、今後の捜査の進展次第では2024年の大統領選に出馬できない事態もあるかもしれません。
FOMCを終え、今後の展開を考えるとやや動きにくい状況ですが、今後は発表されるデータと、FOMCメンバーの発言が相場を動かすことになろうかと思います。本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想しますが、何度かテストして抜けていない「145円が抜ければ」上昇に勢いが付く可能性もありそうです。介入警戒感と粛々と利上げを行うFRBをどのように相場に織り込んでいくのか、ドル円はまだまだ動きそうです。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
https://www.morningstar.co.jp/redirect/gaitameonline_calender.htm
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