【為替本日の注目点】米長期金利3.99%まで上昇
ドル円は小幅ながら続伸。米長期金利の上昇を背景に144円90銭まで上昇。ユーロドルは続落。0.9570までユーロ安が進み、前日の水準を下回る。株式市場はまちまち。ダウは一時400ドルを超える上昇を見せたが、結局マイナスで終わり、これで6日続落。債券も続落し、長期金利は一時3.99%台まで上昇。金と原油は反発。
マーケット情報
8月耐久財受注 → -0.2%
7月FHFA住宅価格指数 → -0.6%
7月ケース・シラ-住宅価格指数 → 16.06%
9月リッチモンド連銀製造業景況指数 → 0
9月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 108.0
8月新築住宅販売件数 → 68.5万件
ドル/円 144.39 ~ 144.90
ユーロ/ドル 0.9570 ~ 0.9648
ユーロ/円 138.60 ~ 139.41
NYダウ -125.82 → 29,134.99ドル
GOLD +2.80 → 1,636.20ドル
WTI +1.79 → 78.50ドル
米10年国債 +0.021 → 3.945%
本日の注目イベント
豪 8月小売売上高
日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月20日、21日分)
日 7月景気先行指数(CI)(改定値)
独 10月GFK消費者信頼調査
欧 ラガルド・ECB総裁講演
米 8月中古住宅販売成約件数
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答に参加
米 ブラード・セントルイス連銀総裁、イベントで歓迎の挨拶
米 パウエル・FRB議長、会議で歓迎の挨拶
米 ボウマン・FRB理事講演
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米10年債利回りが上昇し、昨日のNYでは一時3.99%と、4%に迫る水準まで上昇しました。この動きに伴い、ドル円も買われ144円90銭までドル高が進みましたが、145円には届いていません。NYでも介入警戒感があり、145円手前で止まったようです。145円台に乗せれば、再び政府日銀のドル売り介入を誘発することにもなりかねないとの警戒感から、足踏みした格好です。ユーロドルでも引き続きドル買いユ―ロ売りが続いていることから、ドル円も145円台を攻めたいところですが、「誰が猫に鈴をつけるか」といった状況です。昨日も多くのFOMCメンバーの発言がありましたが、ほぼ押しなべてタカ派寄りの発言でした。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のイベントで、「われわれは非常に積極的に動いている。かなりの引き締めが進行中だ。物価の安定を回復させることにコミットしているが、時間差があることを踏まえれば、やりすぎのリスクがあることも認識している」としながらも、「現在のペースが適切だ」と語っています。また、セントルイス連銀のブラード総裁はロンドンの講演で、「政策金利は景気抑制的な領域に入ったと言える段階に達したばかりだ。インフレ問題を確実に抑え込むためにも、しばらくは金利を高水準に据え置く必要がある」と述べています。シカゴ連銀のエバンス総裁も「今から6カ月で、金融政策の遅行効果が労働市場に現れるはずだ」と述べるとともに、米当局はインフレが上昇し始めた際に、間違いを犯し「判断を誤った」と認め、「今になって考えると、私は恐らく引き締めをもっと早期に開始していただろう」と続けています。(ブルームバーグ)
この日はイエレン財務長官の発言もあり、協調介入の可能性に関してのヒントがあったようにも思えます。イエレン氏は足元の株式、債券市場の動きについて、投資家の間で動揺が広がっていることを受け、「金融市場は良好に機能していると考える。秩序を欠いた状況にはない」との認識を示しました。さらに長官は、「米国は他の多くの国々よりも早いペースで進んでいるため、ドルには上昇圧力が見られる」と指摘した上で、「私にとって、金融市場の引き締まりを反映するこの種の展開は、インフレ対策に関わるものの一環だ」と語っています。言うまでもなく、この発言はインフレの高進に苦しむ米国にとって、ドル高は好都合だといった意味合いになります。言い換えれば、「インフレを抑制するため、ドル高による効果も見込んでいる」といった意味にも受け取れると考えます。予想されたことですが、現時点では米国が「協調介入」に賛同する可能性は極めて低いと考えられます。ドル円が再び145円を超えて上昇し、政府日銀の介入が見られたとしても、結局「単独介入」であり、その効果は限定的だということになります。
3会合連続で0.75ポイントの利上げを行い、3月に利上げを開始してからの利上げ幅は3.0%に達しています。「やりすぎのリスクがあることも認識している」と言ったカシュカリ総裁の言葉にもあったように、大幅利上げによる景気の急激な後退も期待されていましたが、現実には米経済の足腰は思った以上に強く、その効果も想定されたものではありません。昨日発表された9月の消費者マインドも市場予想を上回り、2カ月連続で上昇していました。「好材料は、悪材料」というパターンが定着し、この指標を受け金利が上昇し、株価の下落につながっています。
本日も多くのFOMCメンバーによる発言が予定されています。基本はタカ派寄りの発言で変わりはないと思われますが、市場も徐々にそのような発言にも慣れて、反応も限られてきそうです。11月FOMCでの利上げ幅が焦点になりますが、そこに大きな影響のある9月の雇用統計とCPIが最も大きな材料になります。
本日のドル円は143円50銭~146円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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